一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R5: 地球外物質

2019年9月20日(金) 09:15 〜 12:00 大講義室 Ib (大講義室)

座長:中村 智樹、瀬戸 雄介

11:45 〜 12:00

[R5-11] Northwest Africa 2139 LL6コンドライトの衝撃変成史

*竹之内 惇志1、角野 浩史2、下館 果林2、長尾 敬介2、山口 亮1,3 (1. 極地研、2. 東大、3. 総研大)

キーワード:衝撃変成史、普通コンドライト、Ar-Ar年代、I-Xe年代

普通コンドライトの複雑な衝撃史を解明するためには、多くの隕石において、衝撃変成組織と対応付けた衝撃変成年代の測定を行う必要がある。本研究ではLLコンドライト母天体の衝撃史を制約するため、角礫岩であるNWA 2139の衝撃変成組織観察及び希ガス年代測定を行った。NWA2139のI-Xe系が示す年代(4.49-4.53 Ga)は高温のピーク(1000K程度)の年代を示していると考えられ、観察されたヒールドクラックや珪酸塩のダークニングといった組織はこの年代よりも前に形成されたと考えられる。そのため、LLコンドライト母天体でも、Hコンドライトで指摘されるような熱変成中の衝撃イベントが4.5 Ga以前に起きていた可能性が示唆された。また、クラストから得られた二つのAr-Ar年代(4.17 Ga, 3.85 Ga)は二回の衝撃イベントを示唆し、それぞれが薄片で観察された二種類の衝撃溶融脈を形成したと考えられる。上記の合計三回の衝撃イベントに於いて、残留熱の影響が徐々に弱まっていることから、太陽系形成初期の5-6億年間において衝撃の規模や頻度が急速に弱まった可能性が示唆された。