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[R5-19] NWA 7203アングライトの特異な岩石組織の結晶化過程
「発表賞エントリー」
キーワード:NWA 7203、アングライト、結晶化過程、外来結晶
アングライトは太陽系最古の原始惑星地殻由来隕石の一種で、アルカリ元素に枯渇し難揮発性元素に富み、特異な鉱物組み合わせを示す。NWA 7203は急冷組織を示すアングライト隕石であり、粒子サイズが大きく変化する特異な岩石組織を示すが、詳しい結晶化過程は明らかになっていない。NWA 7203は粒子サイズが1マイクロメートル程度から100マイクロメートル以上に変化する樹枝状組織を示し、細粒部から粗粒部に広がる放射状組織を持つ。バルク組成は、粗粒部は細粒部に比べ、わずかにMgに富みFeに乏しい組成であった。ただし、誤差範囲内でバルク組成は一致している可能性も否定できない。細粒部にのみ、Mgに富むカンラン石が見られ(最大Fo64)、外来結晶と考えた。このカンラン石を核にし、灰長石が成長している様子も見られた。NWA 7203の結晶化過程は、まずカンラン石外来結晶を核に細粒部が結晶化し、次に周囲のメルト組成がMgに富むよう変化し、最後に粗粒部が結晶化した。また、バルク組成が細粒部と粗粒部で同じだったならば、細粒部と粗粒部の組織の違いは、単純に冷却速度の鈍化により起こされた可能性が考えられる。