一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

ポスター

R7: 岩石・鉱物・鉱床一般 (資源地質学会共催セッション)

2019年9月21日(土) 09:30 〜 17:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 17:00

[R7P-04] 輝石温度の冷却速度応答性による海洋リソスフェアの見かけ温度分布

*西村 光史1、山本 順司2、石橋 秀巳3 (1. 東洋大学、2. 北海道大学、3. 静岡大学)

キーワード:輝石温度計、海洋リソスフェア、マントル、冷却速度応答性、モホール計画

海洋リソスフェア内で単斜輝石と斜方輝石が接している場合,温度が変化すると両輝石の界面元素分配関係が変化し,接触部の平衡化学組成(Ca等)は熱力学的に一意に決まる.しかしそれぞれの輝石内部の組成変化は結晶のコア-リム間の化学組成差に起因する拡散過程に依存するため,冷却速度の大きい浅部の単斜輝石はリム付近を除き非平衡組成を維持すると考えられる.本研究では海洋リソスフェアの温度の時空間変化を輝石の元素拡散モデルと組み合わせることにより,複数深度における単斜輝石の組成累帯構造の時系列発達過程を定量的に検討した.海嶺軸と垂直な断面において単斜輝石のコアが示す見かけ温度分布を計算した結果,リソスフェア深部では水平移動とともに輝石のコアの示す温度が高温から低温にゆっくりと変化していくのに対し,浅部では高温を示したまま変化しなくなっているのがわかった.この結果は,深部ほど高温で冷却が緩やかに進むため輝石の元素拡散が温度変化に追随するのに対し,浅部では急冷されるため,元素拡散が追いつかないうちに閉鎖温度に達してしまうことを意味している.