一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

S1: 火成作用の物質科学 (スペシャルセッション)

2019年9月20日(金) 10:00 〜 12:00 A-117 (イースト1号館)

座長:松本 恵子、無盡 真弓、浜田 盛久

10:45 〜 11:00

[S1-04] 妙高火山の関山噴火(43 ka)と貫ノ木噴火(41 ka)のメルト包有物の揮発性成分分析

*浜田 盛久1、ロズ-古賀 エステル2、古賀 ケネス2、牛久保 孝行1、清水 健二1、原田 英男3、山口 佳昭3 (1. JAMSTEC、2. マグマ・火山研究所、3. 信州大学)

キーワード:妙高火山、背弧火山、メルト包有物、揮発性成分、二次イオン質量分析計

本研究では,妙高火山の第4活動期・先カルデラステージの関山噴火(43 ka)及び貫ノ木噴火(41 ka)のメルト包有物の揮発性成分(H2O, S, F, Cl)をSIMSを用いて分析した.これらは急冷されてガラス化しているため,背弧火山のメルトの揮発性成分の分析に適している.

分析の結果,カンラン石に包有された関山噴火および貫ノ木噴火の玄武岩質メルト包有物は,いずれも最大で6 wt.%のH2Oを含み,SiO2の増加に伴ってH2Oが減少する傾向を示した.関山噴火と貫ノ木噴火のメルト包有物のFとClの組成は有意に異なっている.両噴火のマグマは,起源マントルの枯渇度や,供給されたスラブ起源流体の量が異なっていた可能性が考えられる.

今後,SIMSを用いて揮発性成分の追加分析を行うとともに,微量元素の分析も進めることにより,K2Oに富む不均質メルトの起源,さらには関山噴火と貫ノ木噴火のマグマの起源の違いについて明らかにしていく予定である.