11:30 〜 11:45
[S1-07] 低水蒸気圧下における安山岩質軽石の石基結晶化実験
「発表賞エントリー」
キーワード:ナノライト、ウルトラナノライト
近年、火山岩の石基マイクロライトの間にナノスケールの結晶が見つかり、その晶出・成長条件を明らかにすることは火山噴火のダイナミクスの理解において重要である。そのため本研究では火道の極浅部での減圧結晶化を模擬した低水蒸気圧下での結晶化実験を行い、ナノスケールの結晶の晶出条件を調べた。出発物質には1914年桜島大正噴火で噴出した軽石を用い、温度は800–1000℃、時間は30分–32時間、圧力はLVP(0.07MPa)及びHVP(2–6MPa)の条件で行った。
輝石ナノライトは全条件で観察されたのに対し、磁鉄鉱ナノライト(直径30nm~1µmの結晶)は1000℃HVPでは観察されなかった。このため、磁鉄鉱ナノライトは輝石ナノライトに比べ、過冷却度の高い環境で晶出する傾向にあると考えられる。試料全体でウルトラナノライト(直径30nm以下の結晶)の晶出が確認できたのは800℃、LVPの条件であり、2時間後から晶出が確認できた。このことから、ウルトラナノライトの晶出には高い過冷却度を要すると考えられる。これらの結果により、火道浅部でマグマが経験した圧力、温度、及び定置時間を制約できる可能性がある。
輝石ナノライトは全条件で観察されたのに対し、磁鉄鉱ナノライト(直径30nm~1µmの結晶)は1000℃HVPでは観察されなかった。このため、磁鉄鉱ナノライトは輝石ナノライトに比べ、過冷却度の高い環境で晶出する傾向にあると考えられる。試料全体でウルトラナノライト(直径30nm以下の結晶)の晶出が確認できたのは800℃、LVPの条件であり、2時間後から晶出が確認できた。このことから、ウルトラナノライトの晶出には高い過冷却度を要すると考えられる。これらの結果により、火道浅部でマグマが経験した圧力、温度、及び定置時間を制約できる可能性がある。