一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

S2: 岩石-水相互作用 (スペシャルセッション)

2019年9月20日(金) 15:30 〜 17:00 大講義室 Ia (大講義室)

座長:土屋 範芳、河上 哲生

16:00 〜 16:15

[S2-03] 海洋下部地殻〜モホ遷移帯における加水作用と岩石物性変化について:ICDPオマーン掘削コア試料の「ちきゅう」船上計測結果

*阿部 なつ江1、岡崎 啓史2、片山 郁夫3、畠山 航平3、赤松 祐哉3、オマーン掘削プロジェクト サイエンスパーティー (1. 海洋研究開発機構MarE3マントル掘削プロモーション室、2. 海洋研究開発機構X-star高知コア研究所、3. 広島大学)

キーワード:ICDPオマーン掘削計画、掘削船「ちきゅう」、オフィオライト、海洋地殻、モホ遷移帯

ICDPオマーン陸上掘削は、2016年12月から2018年3月までオフィオライトにおける陸上掘削を行い、回収率100%で約3200m長分の岩石コア試料を採取した。得られたコア試料は、著しく蛇紋岩化していた。採取したコア試料は、清水港に停泊中の地球深部探査船「ちきゅう」へ搬送し、2017年7月15日〜9月15日(ChikyuOman2017)と2018年7月5日〜9月3日(ChikyuOman2018)の合計4ヶ月間、火成岩岩石学、変成岩岩石学、構造地質学、古地磁気学、地球化学、岩石物性の5チームに分けて記載・分析した。

 その結果、これら岩石物性は、鉱物モード組成や全岩化学組成と良い相関を示すことがわかった。下部地殻〜お重部マントルにかけて掘削したHole CM1Aにおいて、平均Vp 7km/sの変斑れい岩(下部地殻セクション)と平均Vp 5 km/sの蛇紋岩(マントルセクション)との間の“古モホ面”において、予想された速度構造とは反対の速度逆転が見られた。特に、超マフィック岩(蛇紋岩)におけるFe含有量―帯磁率―電気伝導率―熱伝導率に非常に良い相関が見られることがわかった。