一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

S2: 岩石-水相互作用 (スペシャルセッション)

2019年9月20日(金) 15:30 〜 17:00 大講義室 Ia (大講義室)

座長:土屋 範芳、河上 哲生

16:15 〜 16:30

[S2-04] 酸素同位体を用いた地質速度計: 高温変成作用下で岩石―水相互作用を記録するザクロ石への適用

*東野 文子1,2、Rubatto Daniela2,3、河上 哲生4、Bouvier Anne-Sophie3、Baumgartner Lukas3 (1. 岡山理科大、2. ベルン大学、3. ローザンヌ大学、4. 京大)

キーワード:酸素同位体、ザクロ石、SIMS、塩水、グラニュライト

近年、分析技術の向上と実験的研究の進歩により、ザクロ石中の酸素の拡散係数が制約され、地質速度計として用いる基盤が整いつつある。そこで本研究では、東南極セール・ロンダーネ山地バルヒェン山に産する、ザクロ石―黒雲母―珪線石片麻岩中のザクロ石に対して、酸素同位体を用いた地質速度計を適用し、高温継続時間の見積りをおこなった。本試料のザクロ石斑状変晶は、リンの濃度でコアとリムを明瞭に認識でき、コア形成後に、塩水が流入したことが示唆されている (Higashino et al., 2013)。本ザクロ石のコアからリムにかけて、SIMSを用いた酸素同位体比の線分析を行った。その結果、コアからリムにかけて酸素同位体比は徐々に減少し、コア・リム境界を中心に対称なプロファイルが得られた。このプロファイルを拡散方程式でフィッティングし、既知の拡散係数を用いると、リム形成後の高温継続時間は約0.5-40 Myrと見積もることができた (Higashino et al., in press)。