一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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S2: 岩石-水相互作用 (スペシャルセッション)

2019年9月20日(金) 09:30 〜 17:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 17:00

[S2P-02] オマーンオフィオライト下部地殻かんらん石斑れい岩における緑簾石の生成条件

*立石 大和1、野坂 俊夫1 (1. 岡山大・院自然)

キーワード:オマーン掘削プロジェクト、下部地殻、かんらん石斑れい岩、変質作用、緑簾石

Oman Drilling Project Hole GT1, GT2, GT3から採取されたオマーンオフィオライトの下部地殻構成岩類において,緑簾石は輝緑岩岩脈と斑れい岩セクション上部では,斜長石を置換して,あるいは熱水脈として広く出現するが,下位のかんらん石斑れい岩においては出現頻度が低下し,破砕帯あるいは熱水脈とその近傍にほぼ限定的に産出する。この緑簾石の分布は,他の変質鉱物が広く形成されていることと対照的である。角閃石,緑泥石,ぶどう石,蛇紋石の産状と組成は,角閃岩相から緑色片岩相以下に至る温度条件で変質作用が繰り返し起きたことを示しており,特定の温度条件(例えば緑色片岩相)での熱水活動の低下を示すような証拠はない。かんらん石斑れい岩中で,かんらん石は蛇紋石脈に貫かれており,その脈の延長線上では隣接する斜長石にぶどう石+緑泥石が生じていることが多い。一方,まれに斜長石中に出現する緑簾石は緑泥石とは共存するが蛇紋石との成因的関連を示さない。熱力学的モデル計算は,ぶどう石が蛇紋石化作用と同程度のシリカと酸素の活動度のもとで生じ得るのに対して,緑簾石はより酸化的な環境で生じることを示している。