一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

S3:北東アジアの鉱物・岩石・資源 (スペシャルセッション)

2019年9月22日(日) 09:15 〜 12:00 A-117 (イースト1号館)

座長:中野 伸彦、苗村 康輔、足立 達朗

11:00 〜 11:15

[S3-07] モンゴル北西部のザフハンエクロジャイトが経験した反時計回りの温度圧力履歴

*苗村 康輔1、オトコンクゥ ジャフハラン2 (1. 京都大学理学研究科地質学鉱物学教室、2. 中国地質科学院)

キーワード:反時計回りの温度圧力履歴、エクロジャイト、青色片岩

沈み込みプレート上面を構成する玄武岩は沈み込み過程で脱水反応しながら、より高密度の青色片岩~エクロジャイトへ変成していると考えられる。現在、地表で採集可能なエクロジャイトや青色片岩には、玄武岩が沈み込んでから地表に浮上するプロセスが記録されている。最も典型的な温度圧力経路は、海洋底から沈み込み開始した低温低圧条件から温度圧力が上昇し、ローソン石や藍閃石を含んだ青色片岩を形成し、それが脱水分解し緑簾石エクロジャイトへと相転移するという累進変成作用の経路である。一方で、チリ、フランシスカンやイラン・モンゴルにおける研究から、一部のエクロジャイトや青色片岩は、高温低圧下で形成された角閃岩から形成されたことが明らかとなってきた。2つの変成ステージの間には30-50Maのタイムラグが存在することも判明してきた。本発表ではレビューを踏まえて、発表者が研究を行っているモンゴル北西部のエクロジャイトの温度圧力履歴について紹介したい。詳細な温度圧力履歴・ラマン分光法のデータに基づいて、藍晶石を含む角閃岩(600℃以上)が冷却・増圧した結果、480度・2GPaの条件でエクロジャイトに相転移したことを示す。