一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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S3:北東アジアの鉱物・岩石・資源 (スペシャルセッション)

2019年9月22日(日) 09:30 〜 15:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 15:00

[S3P-01] 四国西部真穴帯近傍のジルコンU-Pb年代

*川口 健太1、早坂 康隆1、柴田 知之1 (1. 広島大・院理)

キーワード:真穴帯、ジルコンU-Pb年代、黒瀬川構造帯、秩父累帯

真穴帯は四国西端部にのみ分布する特異な地体で,下部白亜系真穴層と蛇紋岩,肥後帯に対比される大島変成岩を主たる構成要素としている.近年真穴帯の各構成要素の年代と帰属は明らかとなりつつあるが,その定置メカニズムは明らかとなっていない.そこで真穴帯を取り巻く諸地体に対しジルコンU-Pb年代を用いてその年代測定を手がけた.その結果,真穴帯南方の花崗岩類2試料からはそれぞれ470.6 ± 3.2 Ma,468.3 ± 2.7 Maの重み付平均年代が得られ,これは黒瀬川帯の古生代前期深成岩類の年代に一致する.また真穴帯を構成する蛇紋岩に包有される砕屑岩-チャート-緑色岩コンプレックス中の砕屑岩の砕屑性ジルコン年代を測定した結果,すべての測定点が石炭紀後期からペルム紀前期の狭い範囲の年代を示した.真穴帯と御荷鉾帯との境界部に分布する花崗岩マイロナイトからは151.8 ± 1.8 Maの火成年代が得られ,全岩の微量元素組成は火成弧の特徴を示す.110-158 Maは朝鮮半島から日本列島にかけての火成活動静穏期であることから,大規模な横ずれ運動もしくはナップ運動で遠方よりもたらされた異地性岩体である可能性がある.