12:00 〜 14:00
[R3P-12] 3GPaにおけるFe-FeS-FeO系の融解関係
キーワード:核、軽元素
惑星のコアは鉄ニッケル合金と硫黄や酸素などの軽元素から構成されていると考えられている。鉄-軽元素系の融解関係は、コアを形成する液体鉄合金の物性と密接に関係しているため、惑星のコアの形成過程や化学組成を解明する手がかりとなる。太陽系形成期の微惑星や惑星胚のコア形成は数GPaの圧力下で進行して惑星の核の化学組成に大きな影響を与えたと考えられている。この点に着目して 3 GPaでのFe-FeS-FeO系の融解関係を実験的に調べた。
実験は岡山大学の川井型高圧装置を用いて行った。回収試料の組織観察と化学分析からFe-FeS-FeO系の融解関係を検討した。
Fe-FeS-FeO三成分系の液相面には液体不混和領域が1気圧(0.1 MPa)から約20 GPaの圧力まで存在する。Feに富む金属液体とOに富むイオン性液体に分離する液体不混和領域はFe-FeO二成分系側からFeS端成分に向かって広がっている。0.1 MPaでは、Feの融点はFeSやFeOの融点よりもはるかに高いため、三成分共融点はFeS-FeO二成分系の中間付近に位置し、Feの初晶領域は液体不混和領域をはさんでFeS-FeO二成分系付近まで広がっている。FeSとFeOはFeよりも融点の圧力勾配が大きいため、液相面は0.1 MPaと3 GPaでは大きく異なる。3 GPaでは三成分共融点はFe-FeS二成分共融点の近くにあり、Feの初晶領域はFe-FeS二成分系近傍に制限され,かわりにFeOの初晶領域が拡大する。
Wendlandt & Huebner (1979)の報告した3GPaの融解関係と比較すると,三成分共融点の位置は一致するがFeとFeOの初晶領域については異なっている。彼らの相図ではFeとFeOの初晶領域は0.1 MPaとほぼ同じである。一方,今回の結果は,Fe-FeS-FeO系の液相面がUrakawa et al. (1987)に報告された6 GPaのものと調和的であることを示している。Wendlandt & Huebner (1979)の結果と今回の結果から,Fe-FeS-FeO系の融解関係は3 GPa付近で大きく変化すると考えられる。
References
Urakawa S., Kato M., Kumazawa M., in AGU Monograph Series, vol. 39, 95-111, 1987. https://doi.org/10.1029/GM039p0095
Wendlandt R.F. and Huebner J.S., Lunar Planet.Sci., X, 1329-1331, 1979.
実験は岡山大学の川井型高圧装置を用いて行った。回収試料の組織観察と化学分析からFe-FeS-FeO系の融解関係を検討した。
Fe-FeS-FeO三成分系の液相面には液体不混和領域が1気圧(0.1 MPa)から約20 GPaの圧力まで存在する。Feに富む金属液体とOに富むイオン性液体に分離する液体不混和領域はFe-FeO二成分系側からFeS端成分に向かって広がっている。0.1 MPaでは、Feの融点はFeSやFeOの融点よりもはるかに高いため、三成分共融点はFeS-FeO二成分系の中間付近に位置し、Feの初晶領域は液体不混和領域をはさんでFeS-FeO二成分系付近まで広がっている。FeSとFeOはFeよりも融点の圧力勾配が大きいため、液相面は0.1 MPaと3 GPaでは大きく異なる。3 GPaでは三成分共融点はFe-FeS二成分共融点の近くにあり、Feの初晶領域はFe-FeS二成分系近傍に制限され,かわりにFeOの初晶領域が拡大する。
Wendlandt & Huebner (1979)の報告した3GPaの融解関係と比較すると,三成分共融点の位置は一致するがFeとFeOの初晶領域については異なっている。彼らの相図ではFeとFeOの初晶領域は0.1 MPaとほぼ同じである。一方,今回の結果は,Fe-FeS-FeO系の液相面がUrakawa et al. (1987)に報告された6 GPaのものと調和的であることを示している。Wendlandt & Huebner (1979)の結果と今回の結果から,Fe-FeS-FeO系の融解関係は3 GPa付近で大きく変化すると考えられる。
References
Urakawa S., Kato M., Kumazawa M., in AGU Monograph Series, vol. 39, 95-111, 1987. https://doi.org/10.1029/GM039p0095
Wendlandt R.F. and Huebner J.S., Lunar Planet.Sci., X, 1329-1331, 1979.