The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Ceremony / Events

学会奨励賞受賞講演・授賞式

Mon. Sep 18, 2023 3:10 PM - 3:40 PM A会場 (百周年講堂)

座長:宇田川 信之(歯科基礎医学会 理事長,松歯大 生化)

3:20 PM - 3:30 PM

[C-11] Melatonin MT2 receptor is expressed and potentiates contraction in human airway smooth muscle

〇Haruka Sasaki1 (1. Tohoku University Graduate School of Dentistry)

Keywords:メラトニン、気管支喘息 、Ca2+濃度

気管支喘息の臨床症状は夜間に悪化する。概日リズム形成ホルモンであるメラトニンの夜間血中濃度は喘息患者で有意に高いが、メラトニンと気管支喘息の相関性は不明である。喘息の主病態である気管平滑筋の収縮は、GqまたはGiタンパク質共役型受容体を介した細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)上昇、cAMP産生減少シグナルを介して生じる。メラトニン受容体群(MT1, MT2)もGqGiタンパク質共役型受容体であり、気管平滑筋収縮に寄与している可能性が高い。そこで本研究では、気管平滑筋上でのメラトニン受容体の発現、及びメラトニンによる気管支収縮機構について検討した。その結果、2種類のメラトニン受容体のうちGi蛋白共役型受容体であるメラトニンMT2受容体が気管平滑筋に存在することが明らかになった。また、メラトニンは気管平滑筋上のメラトニンMT2受容体を介してアセチルコリン誘発性の[Ca2+]i上昇を増強させ、フォルスコリン誘発性のcAMP産生作用を抑制し、アセチルコリン誘発性ストレスファイバー形成作用を増強した。さらに、メラトニンは喘息発作治療薬であるイソプロテレノール誘発性の気管平滑筋弛緩作用を減弱させた。以上より、メラトニンは気管平滑筋上のMT2受容体を介して、[Ca2+]i上昇増強、cAMP産生抑制、及びストレスファイバー形成作用の増強を介して気管平滑筋収縮に寄与し、イソプロテレノールによる気管平滑筋弛緩作用を減弱させることが示唆された。本研究成果により、メラトニンは夜間喘息症状の治療抵抗性に関与する増悪因子である可能性が明らかになった。