9:10 AM - 9:20 AM
[O2-E-AM1-02] P. gingivalis Mfa1 fimbria putatively binds to TLR2 and induces both IL-6 and IL-8 production in human bronchial epithelial cells
Keywords:Porphyromonas gingivalis、Mfa1線毛、炎症性サイトカイン
高齢者や要介護者は口腔機能が低下するため,口腔細菌を含んだ唾液や食物残渣を誤嚥する機会が多くなり肺炎の発症リスクが高まる。しかし,なぜ口腔細菌は誤嚥性肺炎の原因となるのか,その機序は未だよく解っていない。P. gingivalis (P.g.) は,FimA(長線毛)とMfa1(短線毛)の二種類の線毛を有している。菌体の最外層に存在するため,細菌を誤嚥した場合,宿主細胞に最初に作用する病原因子の1つと考えられる。FimAに関しては様々な生物活性が知られているが, Mfa1に関してはいまだ不明な点が多く現在その生物活性に注目が集まっている。 演者らは,歯周病原菌が様々な呼吸器細胞において肺炎の中心的役割をなす炎症性サイトカインを強く誘導することを報告してきた。今回,歯周病原菌のどの病原因子が本作用を担うかを検討するため,Mfa1とその受容体に注目し検討を行った。 気管支上皮細胞を用いた実験の結果、精製Mfa1の添加によりIL-8とIL-6の遺伝子発現が強く誘導された。Mfa1は濃度依存的にIL-8とIL-6の産生を誘導したが,FimAとLPSに関しては高濃度添加してもその産生量に変化が認められなかった。PCを用いた蛋白質相互作用解析から, Mfa1はTLR2と4の両方とそれぞれ異なる方向で結合する可能性があることが推察された。そこで,TLR2もしくは4を強制発現させた293細胞を用いて実験をおこなったところ, Mfa1は293/TLR2細胞においてNF-κBを活性化したが。さらに,TLR2の中和抗体処理においてのみ,Mfa1誘導性のIL-8とIL-6の産生が抑制された。 今回新たに,P.g.のMfa1がIL-8とIL-6を誘導すること,その作用にTLR2が深く関与することが明らかとなり,肺炎の発症においてMfa1が重要な役割を担っていることが示唆された。