10:20 AM - 10:30 AM
[O2-E-AM2-02] Large-scale genomic investigation of mechanisms involved in the pathogenesis of invasive pneumococcal diseases
Keywords:肺炎球菌、ゲノムワイド関連解析、侵襲性肺炎球菌感染症
肺炎球菌は市中肺炎や中耳炎、副鼻腔炎などの主な原因菌である。肺炎にひきつづき、菌血症、髄膜炎などの致死的な侵襲性肺炎球菌感染症を引き起こすが、詳細な病態や重篤化に関与する因子には不明な点が多い。本研究では、遺伝統計学的解析により、肺炎球菌の全ゲノム情報から病態と相関する細菌因子の探索を行うこととした。
臨床情報を備えた肺炎球菌の全ゲノム情報について、我々が以前解読した配列と併せて、1978年から2018年までに世界20カ国で分離された12,599株の配列を収集した。12,599株のうち、侵襲性由来株は6,616株、非侵襲性由来株は5,983株含まれていた。プログラムRoaryを用いたパンゲノム解析により集団中に存在する遺伝子の分布を解析した結果、全体で42,473遺伝子が検出された。なかでも99%以上の株が保有するコア遺伝子は687遺伝子存在することが明らかとなった。続いて、プログラムsnp-sitesによりコア遺伝子から274,786箇所の一塩基多型 (SNP) を抽出した。病態と相関するSNPと遺伝子は、それぞれプログラムPyseerを用いたゲノムワイド関連解析により探索した。SNPに関する解析の結果、14,778箇所の変異が病態と有意に関連した。検出されたSNPの一部は細胞壁合成に関与するtarIやtarJ、およびmurA1_2などの遺伝子座に存在した。また遺伝子の分布と病態の関連について検討を行ったところ、マクロライド系抗菌薬排出トランスポーターをコードするentS遺伝子や、黄色ブドウ球菌や大腸菌で報告されているファージ関連遺伝子群のホモログを含む、3,102遺伝子の存在が検出された。
以上の結果から、細胞壁合成遺伝子群をはじめとした複数の因子が侵襲性肺炎球菌感染症に関連することが示唆された。
臨床情報を備えた肺炎球菌の全ゲノム情報について、我々が以前解読した配列と併せて、1978年から2018年までに世界20カ国で分離された12,599株の配列を収集した。12,599株のうち、侵襲性由来株は6,616株、非侵襲性由来株は5,983株含まれていた。プログラムRoaryを用いたパンゲノム解析により集団中に存在する遺伝子の分布を解析した結果、全体で42,473遺伝子が検出された。なかでも99%以上の株が保有するコア遺伝子は687遺伝子存在することが明らかとなった。続いて、プログラムsnp-sitesによりコア遺伝子から274,786箇所の一塩基多型 (SNP) を抽出した。病態と相関するSNPと遺伝子は、それぞれプログラムPyseerを用いたゲノムワイド関連解析により探索した。SNPに関する解析の結果、14,778箇所の変異が病態と有意に関連した。検出されたSNPの一部は細胞壁合成に関与するtarIやtarJ、およびmurA1_2などの遺伝子座に存在した。また遺伝子の分布と病態の関連について検討を行ったところ、マクロライド系抗菌薬排出トランスポーターをコードするentS遺伝子や、黄色ブドウ球菌や大腸菌で報告されているファージ関連遺伝子群のホモログを含む、3,102遺伝子の存在が検出された。
以上の結果から、細胞壁合成遺伝子群をはじめとした複数の因子が侵襲性肺炎球菌感染症に関連することが示唆された。