The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Oral

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Mon. Sep 18, 2023 8:30 AM - 9:30 AM E会場 (441講義室(4号館))

座長:坂東 康彦(明海大 歯 組織)

9:10 AM - 9:20 AM

[O3-E-AM1-05] Elucidation of the role of the canonical Wnt signaling pathway in mandible condyle cartilage growth

〇Renshiro Kani1, Toshihiro Inubushi1, Tomoya Murotani1, Takashi Yamashiro1 (1. Dept Orthodont, Osaka Univ Grad Sch Dent)

Keywords:軟骨、下顎頭、幹細胞

【目的】 近年、組織再生における幹細胞の応用が期待されている。下顎骨においても、下顎頭軟骨内の幹細胞の分化や増殖を制御できるようになれば、下顎頭の形成異常や変形性顎関節症の予防や治療が可能となる。そこで本研究では幹細胞性の維持に重要であることが知られている古典的Wntシグナル経路に着目し、レポーターマウスを用いて下顎頭軟骨内の古典的Wntシグナル活性の高い細胞の下顎頭成長における意義を調べることを目的とした。 【方法】 R26;WntVisマウスの下顎頭の凍結切片を作成し、蛍光顕微鏡を用いて下顎頭軟骨細胞を観察した。タモキシフェン(Tx)誘導性 Axin2 CreERT2;ZSGreenマウスを作製し、Txを腹腔内に投与し、投与後2日、7日、28日に下顎頭を摘出し、前述と同様に観察を行った。Tx誘導性 Axin2 CreERT2; Ctnnb1-CKOマウスを作製し、Txを腹腔内に投与し、投与後28日に下顎頭を摘出し、前述と同様に観察を行った。 【結果】 R26;WntVisマウスの下顎頭の表層(線維軟骨層や増殖軟骨層)にGFP陽性細胞を観察した。次にAxin2 CreERT2;ZSGreenマウスにおいてGFP陽性細胞は、投与後2日目の凍結切片では下顎頭軟骨の表層部に局在していたが、28日目では表層から増殖軟骨層、肥大軟骨層へと柱状に配列していた。さらに Axin2 CreERT2; Ctnnb1-CKOマウスにおいて下顎頭軟骨の層構造のうち、増殖軟骨層が消失した。 【考察】 Wntシグナル活性の高い細胞は線維軟骨層や増殖軟骨層に存在し、幹細胞を含んでいる可能性が示唆され、古典的Wntシグナル経路は前駆細胞の分化増殖や維持の調整によって下顎頭の成長に重要な役割を果たしていることが考えられる。 【結論】 本研究は下顎頭軟骨幹細胞の特性の解明の一助となる可能性を示すものであり、さらに詳細な研究が期待される。