[P1-3-07] Restorative materials allow for reattachment of junctional epithelium in case of cervical caries?
Keywords:付着上皮、再付着、修復材料
歯頸部領域に齲蝕が存在する場合,齲蝕除去後は様々な歯科用充填剤で修復を行う。しかし,齲蝕やその治療過程で付着上皮がエナメル質から剥がれた場合,修復材料に対して付着上皮が再付着するかは明らかではなく,またその予後を調べた研究も少ない。過去において歯科用充填剤と歯肉上皮細胞(ケラチノサイト)との接着に関する研究は行われてきたが,ケラチノサイトと付着上皮細胞とでは分泌する基底膜基質の違いから,接着メカニズムが異なっていると考えられる。従って我々は,独自に樹立した赤色蛍光tdTomato 発現の付着上皮細胞株mHAT-JE01と口蓋粘膜上皮細胞株mOE-PE01を用いてハイドロキシアパタイトならびに歯科用充填剤に対する接着能ついて検討を行った。ハイドロキシアパタイトに対する接着能はmHAT-JE01の方が有意に高かった。さらにハイドロキシアパタイトディスク上に直径約1mmの窩洞を形成して様々な歯科用充填剤で修復した。そのディスク上にそれぞれの細胞を播種して2時間と12時間培養後に洗浄し,付着した細胞数で評価した。その結果,mHAT-JE01は充填物周囲のハイドロキシアパタイトに最も多く接着し,次にレジンにも接着性を示したが,グラスアイオノマーセメントに対してはほとんど接着性を示さなかった。歯頸部の修復には,簡便性や審美性,齲蝕の予防を考えて材料を選択するケースが多いが,付着上皮が接着性を有しない場合はアタッチメントロスを引き起こす可能性が考えられ,歯周病予防を考えた上皮細胞接着の観点から材料を選択する必要性もあると考えられた。