[P1-3-36] Development of a mouse model of neuron-specific VIPR2 overexpression to uncover the schizophrenia susceptibility
Keywords:統合失調症、VIPR2、マウスモデル
統合失調症はあらゆる社会と地理的地域にみられ,全世界的にその発症率は約1%と高い。例えば東京都で歯科を受診する障害者の1/4は精神疾患患者であり,その症状は診療内容に大きく影響することから,発症機構の解明による新たな治療薬の開発が急務である。これまでの大規模なゲノムワイド関連解析により,血管作動性腸管ペプチド(VIP)受容体2 (VIPR2)の遺伝子重複が,統合失調症の発症に大きく関与することが明らかになってきた。本研究では,統合失調症におけるVIPR2増加の病態的役割を解明する目的で,脳神経細胞特異的にヒトVIPR2を過剰発現する新規のトランスジェニック(TG)マウスを開発し,その行動学的解析と神経細胞の形態学的解析を行った。まず,テトラサイクリン応答因子の下流にIRES配列を挟みVIPR2と蛍光タンパク質mCherryの遺伝子配列を連結したTGマウスを作製した。このマウスを,ROSA26遺伝子座内にloxP配列で挟んだSTOP配列とその下流にtTA遺伝子をノックインしたマウス,並びに神経細胞にCre recombinaseを発現するtau-Creマウスとかけ合わせることでトリプルTGマウスを得た。トリプルTGマウスの脳では,大脳皮質や海馬,扁桃体等の広範な領域でmCherryの発現が観察され,その発現は神経細胞マーカーであるNeuNと共局在した。またウェスタンブロッティングにより,ヒトVIPR2が過剰発現していることを確認した。本条件下,トリプルTGマウスでは新奇物体認識試験での認知機能に障害が認められたが,3チャンバー試験における社会性行動に影響はみられなかった。また大脳皮質の神経細胞において細胞体の縮小,樹状突起数の減少と突起長の短縮がみられた。以上の結果は,神経細胞におけるVIPR2の過剰発現が,特に認知と関連する脳高次機能に影響を与えることを示唆するものである。