第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P2-2-12] マウス実験的歯周炎における歯槽骨吸収に対する加齢と炎症の影響

〇中村 恵1、Yang Mu-Chen1、笹野 泰之1 (1. 東北大 院歯 顎口腔組織発生)

キーワード:実験的歯周炎モデル、加齢、網羅的遺伝子解析

歯周炎は歯槽骨吸収を特徴とする炎症性疾患である。その有病率と重症度は加齢とともに増加することが知られている。しかし、歯周炎に伴う歯槽骨吸収に対する加齢の影響に関しては知見が乏しい。そこで本研究では、歯頚部に絹糸を結紮することでプラークの付着を促し、実験的に歯周炎を誘導するマウスモデルを用い、若齢の歯周炎群・若齢の健常群・高齢の歯周炎群・高齢の健常群を作製し、歯周組織における発現変動遺伝子、歯槽骨吸収量、骨を吸収する破骨細胞の数を調べ、歯周炎に伴う骨吸収に対する加齢と炎症の影響について検討した。生後10週齢(若齢)と生後78週齢(高齢)のマウスを使用し、左側の上顎第二臼歯の歯頚部に絹糸を結紮して実験的に歯周炎を誘導した。対側(右側)は健常群とした。結紮後 10 日で上顎を摘出し、網羅的遺伝子解析法の一つであるCAGE解析を行い、発現変動遺伝子を調べ、GO解析を行った。その結果、歯周炎群において炎症関連遺伝子が増加し、高齢群において免疫関連遺伝子が増加することが明らかになった。次にX線マイクロCTを用いて、結紮後10日の骨吸収量を三次元的に解析し、統計学的に評価した。その結果、健常群より歯周炎群で、また若齢群より高齢群で骨吸収量は有意に増加した。歯槽骨吸収に対する加齢と炎症の交互作用はなく、二つの因子は独立して歯槽骨吸収の進行に関与することがわかった。さらに、結紮後10日の上顎を摘出して、第二臼歯が含まれるパラフィン切片を作製し、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ染色を行い、破骨細胞数をカウントし、統計学的に解析した。その結果、破骨細胞数に対して炎症は有意に影響したが、加齢は破骨細胞数に影響せず、加齢と炎症に交互作用は認められなかった。