[P2-2-17] The secretory ability of newly formed secretory granules is regulated by pro-cathepsin B in parotid glands
Keywords:唾液腺、耳下腺、分泌顆粒
【目的】耳下腺の分泌顆粒はゴルジ体で生成後,膜のリモデリングにより成熟していく。成熟過程は分泌能の獲得と考えられているが,その詳細は不明である。一般的に分泌の指標として用いられるアミラーゼは高感度であるが,それゆえ少量の新規生成顆粒の分泌と細胞の破壊とを区別することは困難である。一方,プロカテプシンBは一部が分泌顆粒を介しリソソームへと輸送される。さらに輸送後はカテプシンBへと変換されるため,プロカテプシンBとカテプシンBを同時に検出することで分泌と細胞破壊との区別が可能となる。そこで本研究ではプロカテプシンBを指標に新規生成顆粒の分泌能について検討した。【方法】新規生成顆粒はラット腹腔内にイソプロテレノール(Iso, 5 mg/kg)を投与(5 h)により生成を誘導した。耳下腺より腺房細胞を調製し,1 µM Iso, 10 min刺激により分泌された培養液中のプロカテプシンBとカテプシンBを抗カテプシンBで検出した。プロカテプシンBとカテプシンBは分子量の違いで同定した。耳下腺を1µM Iso刺激前後で固定し,電子顕微鏡で観察した。耳下腺分泌顆粒はパーコール遠心法で精製し,内容物からプロカテプシンBを抗体で検出した。【結果・結論】安静時,耳下腺細胞のLysateではカテプシンBが強く検出されたが,1 µM Iso刺激後の培養液中にはカテプシンBよりもプロカテプシンBが強く検出された。新規生成顆粒を誘導した耳下腺腺房細胞においても1 µM Iso刺激依存的にプロカテプシンBが検出された。精製した新規生成顆粒からプロカテプシンBが検出された。さらにIso投与2時間後の耳下腺細胞では分泌顆粒は観察されず,刺激依存的な分泌は検出されなかった。これらの結果は新規生成顆粒の分泌を示し,分泌顆粒は膜リモデリング前にすでに分泌能を獲得していると考えられた。