[P2-2-18] Pharmacological analysis of the mechanism of salivary gland self-recovery via oral sensory stimulation
Keywords:唾液腺、食餌性状、機能回復
液状餌の長期摂餌により耳下腺は顕著に萎縮し、その後の固形餌による咀嚼刺激によって正常サイズに回復することが知られているが、そのしくみや唾液分泌機能へ影響は未だ明らかにされていない。Wistar系ラットを14日間の液状餌飼育で耳下腺を萎縮させたのち、3日間の固形餌飼育により萎縮腺の回復を促した(萎縮・回復群)。17日間の液状餌(萎縮群)の耳下腺重量は、17日間の固形餌(正常群)の36%で、萎縮・回復群では正常群の84%であった。アセチルコリンの静脈内持続投与(60−720 nmol/min)による唾液分泌を各実験群で比較すると、萎縮群では正常群と比べ15−45%の分泌低下、萎縮・回復群では正常群と同等の分泌が観察された。以上の結果から、咀嚼刺激は腺体とともに分泌機能も回復させることが明らかとなった。
この液状餌による腺萎縮と咀嚼刺激による回復には、自律神経系が関与する可能性が考えられた。そこで受容体作動薬や拮抗薬を用いた薬理学的手法を使い、食餌性状を変えて飼育したラットの腺重量や分泌機能を指標として、咀嚼刺激による耳下腺の機能回復に関わる生体内シグナルを検討した。17日間の液状餌による腺萎縮に対するムスカリン受容体あるいはβアドレナリン受容体作動薬、または神経節刺激薬の影響について検討した。液状餌飼育の最後の3日間にピロカルピン、イソプレナリンおよびニコチンを投与したところ、腺重量はそれぞれ正常群の78、121、および78%まで増加が認められたことから、萎縮からの回復に自律神経系の伝達物質が関与する可能性が示された。一方、萎縮・回復群における回復に対するアトロピンやヘキサメトニウムの効果を検討したが、これらの遮断薬は咀嚼刺激による腺体回復に影響しなかった。今後、各実験群の唾液腺で変化する遺伝子の網羅的解析を行い、咀嚼刺激による自己回復に関わる生体内シグナルについて検討する。
この液状餌による腺萎縮と咀嚼刺激による回復には、自律神経系が関与する可能性が考えられた。そこで受容体作動薬や拮抗薬を用いた薬理学的手法を使い、食餌性状を変えて飼育したラットの腺重量や分泌機能を指標として、咀嚼刺激による耳下腺の機能回復に関わる生体内シグナルを検討した。17日間の液状餌による腺萎縮に対するムスカリン受容体あるいはβアドレナリン受容体作動薬、または神経節刺激薬の影響について検討した。液状餌飼育の最後の3日間にピロカルピン、イソプレナリンおよびニコチンを投与したところ、腺重量はそれぞれ正常群の78、121、および78%まで増加が認められたことから、萎縮からの回復に自律神経系の伝達物質が関与する可能性が示された。一方、萎縮・回復群における回復に対するアトロピンやヘキサメトニウムの効果を検討したが、これらの遮断薬は咀嚼刺激による腺体回復に影響しなかった。今後、各実験群の唾液腺で変化する遺伝子の網羅的解析を行い、咀嚼刺激による自己回復に関わる生体内シグナルについて検討する。