[P2-2-30] Involvement of RNase Y in modulation of pilus production by Streptococcus pyogenes
Keywords:化膿レンサ球菌、線毛、RNase Y
【目的】Nra 転写因子を有する化膿レンサ球菌は温度感受性に線毛を産生する.これまでに,nra mRNA の一部がサーモセンサーとなり,低温での線毛産生が促進されることを明らかにした.本研究では,線毛遺伝子の転写と翻訳をそれぞれ抑制する転写因子 CovR とノンコーディング RNA FasX,ならびにエンドリボヌクレアーゼ RNase Y が線毛産生の制御に関与するかについて解明することを目的とした.
【方法】Nra を有する M49 型の臨床分離株を親株として,RNase Y をコードする rny 遺伝子の欠失株を作製した.37˚C と 25˚C で対数増殖期まで生育させた菌体を用いて,線毛産生量,線毛関連遺伝子の mRNA 量,およびヒト角化細胞株である HaCaT 細胞への菌体付着量を検討した.また,CovR の発現量とリン酸化程度,FasX 発現量,および Nra 発現量を解析した.さらに,Nra を産生する M3 型菌株と Nra 陰性の M1 型および M6 型の菌株から rny 欠失株を作製し,RNase Y の欠失が線毛産生に及ぼす影響を検討した.
【結果と考察】M49 型菌株において,rny 欠失により,線毛関連遺伝子群の mRNA 量,線毛産生量,および HaCaT 細胞への菌体付着量は減少した.また,rny 欠失により,FasX の検出量は 37˚C と 25˚C で減少し,CovR のタンパク質量とリン酸化程度は,用いた実験条件では,有意に変化しなかった.したがって,FasX と CovR は必ずしも温度感受性の線毛産生に関与しないことが示唆された.一方,rny 欠失により,Nra 発現量と nra mRNA 量の減少が認められた.M3 型株では rny 欠失による線毛産生量の減少が同様に認められたが,M1 型株と M6 型株では,顕著な変化は認められなかった.以上の結果から,化膿レンサ球菌の RNase Y は Nra を介して線毛産生量の制御に関与することが示唆された.
【方法】Nra を有する M49 型の臨床分離株を親株として,RNase Y をコードする rny 遺伝子の欠失株を作製した.37˚C と 25˚C で対数増殖期まで生育させた菌体を用いて,線毛産生量,線毛関連遺伝子の mRNA 量,およびヒト角化細胞株である HaCaT 細胞への菌体付着量を検討した.また,CovR の発現量とリン酸化程度,FasX 発現量,および Nra 発現量を解析した.さらに,Nra を産生する M3 型菌株と Nra 陰性の M1 型および M6 型の菌株から rny 欠失株を作製し,RNase Y の欠失が線毛産生に及ぼす影響を検討した.
【結果と考察】M49 型菌株において,rny 欠失により,線毛関連遺伝子群の mRNA 量,線毛産生量,および HaCaT 細胞への菌体付着量は減少した.また,rny 欠失により,FasX の検出量は 37˚C と 25˚C で減少し,CovR のタンパク質量とリン酸化程度は,用いた実験条件では,有意に変化しなかった.したがって,FasX と CovR は必ずしも温度感受性の線毛産生に関与しないことが示唆された.一方,rny 欠失により,Nra 発現量と nra mRNA 量の減少が認められた.M3 型株では rny 欠失による線毛産生量の減少が同様に認められたが,M1 型株と M6 型株では,顕著な変化は認められなかった.以上の結果から,化膿レンサ球菌の RNase Y は Nra を介して線毛産生量の制御に関与することが示唆された.