[P3-2-07] 成長期のレチノイド局所投与による骨成長の調整
キーワード:軟骨、骨、レチノイン酸
成長期における成長板損傷は、骨の成長障害や変形を引き起こし、その後の成長のインバランスを招く原因となるが、現状では骨端閉鎖術に代表される外科的処置が唯一の治療法である。一方で、ビタミンAの過剰症は骨の成長板軟骨の早期消失を引き起こすことが知られているが、その発生機序は現在まで明らかとなっていない。本研究では、ビタミンAの活性型代謝産物であるレチノイン酸による成長板軟骨の制御機構を明らかにし、骨成長の調整への応用の可否を検討することを目的とした。成長期のマウスにレチノイン酸受容体(RARα/β/γ)の選択的アゴニストを全身投与したところ、RARγアゴニストの投与によって著しい成長阻害が見られたが、RARα、RARβアゴニストでは明らかな影響は見られなかった。ナノ粒子を用いたアゴニストの局所投与においては、コントロール粒子を投与した側と比較して骨成長の抑制が見られ、投与部位の調整により角状変形を誘導することも確認された。これらの結果より、ナノ粒子を用いたRARγアゴニストの局所投与は、標的の成長板の機能を調整することで、成長板損傷によって生じた四肢の長さの不一致や角状変形に対する薬剤治療の手法となる可能性がある事が明らかとなった。