[P3-2-11] 象牙芽細胞を蛍光標識できるDspp-GFPマウスを用いた修復象牙質形成における象牙芽細胞の役割の解析
キーワード:象牙芽細胞、Dspp、修復象牙質
修復象牙質は齲蝕や摩耗により歯髄を守護する目的で、象牙芽細胞様細胞により生成されることが知られているが、象牙芽細胞様細胞の詳細については未だ明らかになっていない。 これまで、我々は象牙芽細胞特異的遺伝子Dentin sialophosphoprotein(Dspp)の遺伝子座にGFPを挿入したDspp-GFP-mer-Cre-merマウスを作成した。本マウスはTamoxifen誘導型mer-Cre-merを挿入しCreの発現により様々な遺伝子発現を誘導することができる。 今回我々は、赤色蛍光タンパク(tdTomato)を発現できる Rosa-tdTomatoマウス或いはジフテリア毒素(DT)受容体を発現できるRosa-DTRマウスを掛け合わせ、修復象牙質生成における象牙芽細胞の関わり及び象牙芽細胞様細胞の性状を明らかにするために以下の実験を行った。1)8週齢マウスの下顎第一大臼歯咬頭を削合し、非削合側のGFPを指標に削合側の象牙芽細胞の活性の有無をDsppの経時的な発現変化により確認した。2)Tamoxifen投与後のtdTomatoの発現を指標に、Dspp-GFP-merCremer;Rosa-DTRマウスにDTを投与し、象牙芽細胞死を誘導することで、修復象牙質の形成における象牙芽細胞の関わりを検討した。[結果] 切削4-7日後に切削部位に接する象牙芽細胞においてGFPの消失が認められ、切削10日後にGFPの再活性化を認めた。Tamoxifen投与によりtdTomatoの発現が誘導されたことから、これらのマウスにTamoxifenとDTを連続投与し象牙芽細胞の欠損を誘導した。現在、修復象牙質の異常について検討している。以上、マウス臼歯において象牙芽細胞の活性の有無をGFPを指標に検出できる系とDT投与によりGFP陽性の象牙芽細胞を欠損させる系を確立したので報告する。