The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster

Poster session

Mon. Sep 18, 2023 8:30 AM - 3:50 PM Poster Presentation (121講義室)

[P3-2-23] SARS-CoV-2 Omicron variant is more likely to exist in human saliva in cell-free form

〇Kenichi Imai1 (1. Dept Microbiol Immunol, Nihon Univ Sch Dent)

Keywords:SARS-CoV-2、COVID-19、唾液

【背景】 新型コロナウイルスは、従来株→デルタ株→オミクロン株へと変異の度に感染力が増した。オミクロン株は、飛沫感染に加えてエアロゾル・空気感染するため、爆発的な感染拡大につながったと考えられている。しかし、その仕組みは良くわかっていません。私たちは素直に、唾液中に排出されるウイルスの量自体が多くなっているのではと推測した。また、エアロゾル感染が成立するためには、ウイルスが遠くに飛散しかつ飛沫よりも長時間室内に漂うエアロゾルに含まれて拡散する状態が必要とも推察した。 そこで、感染者から採取した唾液を、全唾液と遠心分離で細胞成分を除いた上澄み液とに別けウイルス量を定量、比較した。
方法 唾液中のウイルス量を一桁単位まで定量した。算定したウイルス量と検査会社が行ったPCRのCt値とが相関することを確認。上澄み液にはヒトDNAが0.5%未満しか含まれておらず細胞が除去されていることなども確認した。
結果 はじめに、従来株では全唾液1ml中に約 123 万個のウイルスが存在していることが判明。デルタ株では、1ml中に約1860万個と従来株に比べて15倍ものウイルスが存在。その内、細胞内外に付随していないセルフリーウイルスは約117万個で、全唾液中に占める割合は約4.8 %で従来株と同程度であった。オミクロン株では、セルフリーウイルスは1ml中に約 321 万個で、デルタ株の2.7倍、従来株の17.8倍と大幅に増加。全唾液に占める割合は約 21.3 %で、両株の約4倍もセルフリーウイルスの割合が増加していた(JAMA Network Open 2023)。
考察 オミクロン株では、エアロゾル感染の原因となり得る唾液中のセルフリーウイルス量が増加したことが、感染爆発につながったと推察される。この概念は、未知のウイルス感染症が発生した際、そのウイルスの性状を知り感染対策を企てるための基本概念として重要と考える。