[P3-2-28] Contribution of oral indigenous microbiota to lung microbiota
Keywords:口腔常在微生物叢、肺微生物叢、16S rRNA遺伝子
肺には口腔を含む上気道から微生物が持続的に侵入し、微量ながら肺微生物叢が形成されている。本研究では唾液とともに常時嚥下されている口腔常在微生物の肺微生物叢形成への寄与について明らかにするため、末梢孤在結節の精査を目的に気管支鏡検査を施行した58名の患者より唾液と舌苔を採取するとともに気管支被覆液を気管支擦過により取得した。各検体から微生物群集DNAを抽出したのち、16S rRNA遺伝子をターゲットとした定量PCR法を用いて各検体に含まれる総細菌量を算出した。またロングリードDNAシーケンサーを用いた16S rRNA遺伝子全長の塩基配列決定に基づく細菌群集解析法により各検体に含まれる細菌構成を決定し、検体間で比較を行った。三検体全ての解析が可能であった53名の対象者において気管支被覆液に含まれる総細菌量は唾液および舌苔検体における総細菌量と有意な正の相関を示した。また唾液および舌微生物叢の優占種は気管支被覆液中においても高い割合を占めていた。一方で口腔検体における優占種のなかにはPrevotellaをはじめとする気管支被覆液にみられる微生物群集においても高い割合を占める菌種とNeisseriaをはじめとする気管支被覆液では構成比率の低い菌種が認められた。以上の結果から唾液を介して肺に運ばれた舌由来の微生物が肺微生物叢の主要な供給源であること、ただしそれらの肺への定着においては選択圧が加わっていることが示唆された。(会員外研究協力者:神尾 敬子)