The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster

Poster session

Mon. Sep 18, 2023 8:30 AM - 3:50 PM Poster Presentation (131講義室)

[P3-3-12] Neural correlates of orofacial nociceptive discrimination in mouse insular cortex

〇Kazunori O'Hashi1, Masayuki Kobayashi1 (1. Dept Pharmacol, Nihon Univ Sch Dent)

Keywords:侵害情報、大脳皮質、イメージング

機能局在とは、大脳皮質上の領域毎に異なる機能がコード化されているという脳の基本原理である。特に体性感覚地図は、機能と領域の対応関係(somatotopy)を示す典型例として広く知られている。歯科臨床では、患者が歯の痛みの場所を特定できないことが多く、この原理の普遍性に疑問が呈されている。実際、ヒト脳画像研究では、上下顎の歯痛に対して応答する大脳皮質の領域が重複しており、齧歯類においても上下顎歯根膜電気刺激(PDL刺激)は、島皮質(IC)の同一領域を活性化することが報告されている。しかし、上下顎に対する侵害入力が皮質地図内における単一細胞レベルでどのように表象されているかは十分理解されておらず、口腔内侵害刺激に対する機能局在の有無は不明である。そこで本研究では、口腔内侵害刺激に対する皮質情報表現を明らかにするため、二光子カルシウムイメージングを用いて遺伝子改変GCaMP6sマウスICにおける上下顎PDL刺激に対する単一細胞レベルの情報処理機構を検討した。多くのICニューロンは上下のPDL刺激に対して異なる応答を示す一方、上下顎一方のみに応答する細胞は少数であった。また、各ニューロンの空間配置は脳表に対して垂直方向に並んでミニコラム構造を形成していたが、上下顎に対する応答を区別しうるような特徴的な構造は存在しなかった。しかし、神経集団の多次元データ解析により、上下のPDL応答は識別可能であることが判明し、一部の動物では単一試行の応答からも2つの入力を識別することが可能であった。 本結果は、上下顎の侵害入力はICにおいて異なる皮質マップとして表象されていないが、神経細胞集団として別々にコード化されていることを示唆している。これらの特徴は、上顎と下顎に対する侵害情報を区別できないという臨床所見と、両者を区別できるという日常経験との不一致を部分的に説明すると考えられる。