[P3-3-20] Immunohistochemical study of YAP and TAZ in mouse submandibular gland formation
Keywords:唾液腺、発生、免疫組織化学的染色
Hippoシグナルは細胞増殖,アポトーシスおよび細胞分化を制御することによって器官のサイズを決定する。YAPおよびTAZはHippoシグナルの下流に存在する重要な転写共役因子であり,リン酸化依存的にYAP / TAZの活性を制御するキナーゼのカスケードを介してシグナルを伝達する。マウスの大唾液腺の発生は胎生11日頃に開始され,口腔上皮が粘膜直下の間葉組織へ索状に侵入することによって始まる。その後,分枝形成,管腔形成,腺房の細胞分化によって唾液腺は形成される。近年,唾液腺発生におけるHippoシグナルの発現に関してはいくつかの報告が散見され,YAPが顎下腺の導管の成熟(管腔形成)に関与することやTAZが顎下腺の分枝形成に関与することが示唆されている。本研究は,マウス胎仔の顎下腺におけるYAPおよびTAZ蛋白の発現を免疫組織化学的に検索し,これら蛋白の顎下腺発生への関与について検討した。ICR系妊娠マウスより胎生14日(E14),胎生16日(E16)および18日(E18)の胎仔の頭部を摘出し,4%パラホルムアルデヒドによる固定,10 % EDTAにて脱灰後,パラフィン包埋し4μmの薄切切片を作製した。YAP・TAZに対する抗体を用い免疫組織化学的染色を行った。YAPおよびTAZは同様の発現を示し,E14の顎下腺組織では上皮および間葉組織に各蛋白の局在を認め,上皮組織の辺縁部で強い発現を示した。E16では上皮および間葉でYAPおよびTAZ蛋白は陽性を示し,E14同様に上皮組織の辺縁部でやや強い発現が観察された。E18では上皮組織に両蛋白の発現を認めた。両蛋白は主に導管上皮細胞において陽性を示したが,腺房細胞においては一部の細胞のみに局在がみられた。本研究結果からYAP・TAZが顎下腺組織の分岐形成や細胞増殖に関与することが考えられた。