The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Symposium

US1

「口腔顔面の形態形成研究の現在と展望」

Sat. Sep 16, 2023 3:50 PM - 5:20 PM B会場 (123講義室)

座長:井関 祥子(医科歯科大 院医歯 分子発生・口腔組織)、山城 隆(阪大 院歯 矯正)

4:56 PM - 5:18 PM

[US1-04] Cellular diversity in the cranial bone

〇Yuki Yoshimoto1, Chengxue Jin1, Kenichi Nakahama2, Sachiko Iseki1 (1. Dept Mol Craniofac Embryol Oral Histol, Tokyo Med Dent Univ Grad Sch Med Dent Sci, 2. Dept Cell Physiol Chem, Tokyo Med Dent Univ Grad Sch Med Dent Sci)

Keywords:頭蓋冠骨、神経堤細胞、骨芽細胞

頭蓋顎顔面部は、脳による思考活動や身体機能の制御を始め、感覚受容、摂食活動、コミュニケーションなどを行う多くの重要な機能器官と関連するが、進化的には神経堤細胞が出現し、頭蓋顎顔面部のより複雑な組織構築へ寄与している。その中で、頭蓋冠骨は脳の収容と保護を担っており、骨を連結する非石灰化結合組織である縫合部での骨形成および骨吸収を厳密に調整することによって、出生後も続く脳の成長に反応して拡大することができる。哺乳類の頭蓋では、前頭骨と頭頂骨の間に存在する冠状縫合が境界となって、前方の顔面の機能的構造を担う前頭骨や顔面骨は神経堤細胞に由来し、後方の頭頂骨は中胚葉に由来する。近年、発生学的な由来によって骨芽細胞の性質が異なることが報告され、神経堤細胞由来の前頭骨骨芽細胞が頭頂骨骨芽細胞と比較してより高い骨形成能を有することがわかっている。しかしながら、その他の細胞特性の違いや、それを生み出す分子機構に関しては不明であり、さらにはこの違いがどのように組織形成や疾患発症に寄与するのかもわかっていない。そこで、我々は、異なる細胞群の動態や相互作用によって複雑に制御されている頭蓋冠形成のメカニズムを明らかにするため、前頭骨と頭頂骨をはじめ、頭蓋骨周囲組織である縫合、骨膜、硬膜の細胞を厳密に分離する方法を確立し、細胞の遺伝子発現や特性を解析している。これらの解析の結果から、頭蓋冠を形成する細胞の性質が多様であり、それぞれの独自の特性を持つことが明らかになってきた。中でも前頭骨および頭頂骨の骨芽細胞の特性の比較から、従来報告されていた骨形成能の違いに関わる新たな知見を見出している。これまでの研究結果と合わせて、本演題では頭蓋冠骨を形成する細胞とその多様性、それに関わるメカニズムについてご紹介したい。