The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

Presentation information

Symposium

US9

「遺体安置所にて歯科医師に求められるご遺体対応~東日本大震災から12年が経過して~」

Mon. Sep 18, 2023 8:30 AM - 10:00 AM B会場 (123講義室)

座長:斉藤 久子(医科歯科大 院医歯 法歯)、佐藤 慶太(鶴大 公共医科学研究セ)

8:50 AM - 9:10 AM

[US9-02] Infection Control in Dental Identification Work

〇Isao Yamamoto1 (1. Dept Forensic Med, Kanagawa Dent Univ Grad Sch Dent)

Keywords:歯科所見採取、感染症、PPE

1985年群馬県で発生した日航機墜落事故を契機に歯科身元確認の重要性が広く認知され、全国の歯科医師会に警察歯科医会が発足し、多くの開業歯科医師と歯科法医学者が事故、地震、津波、風水害など大規模災害時の身元確認作業に従事してきた。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、歯科所見採取時における感染防護対策は見直す必要が出てきた。感染症まん延期の歯科身元確認作業では、感染防止対策の為に個人用防護具(Personal protective equipment: PPE)を着用する。そこで、我々は、歯科所見作業におけるPPEの種類による作業効率への影響について検討した。
 開業歯科医と歯科法医学者(2名1組5チーム)を対象として、①白衣、サージカルマスク、グローブ、②タイベックスーツ®(感染症対応カバーオール型防護衣)、N95マスク、フェイスシールド、グローブ2重、靴カバー、③感染防護対策用ガウン(電動ファン付き呼吸用保護具(Powered Air-Purifying Respirator:PAPR)対応ガウン)、N95マスク、フェイスシールド、グローブ2重、長靴、の3タイプの着脱時間、歯科所見作業効率及び作業負担などを検証した。
 着脱時間の最長は、5チームとも②であり、歯科所見採取時間は、5チームとも①>②>③の順に短時間であった。感染症まん延期における歯科所見採取作業において、感染予防という点ではカバーオール型防護衣が適しているが、視界を狭め作業効率が低下するという欠点が判明した。今回の検証実験により、長靴着用で感染対策用ロングガウンのタイプが作業効率の良いことが示された。遺体安置所内での作業現場は様々な環境の中、長時間の作業が想定される。新たな感染症のパンデミックも想定し、今後の身元確認作業時には感染症対策を講じながら、作業負担が軽減されるよう工夫が必要であると考えられた。