日本文化人類学会第52回研究大会

実施委員長からのお願い

弘前大会実施にあたってのお願い

第52回研究大会実施委員長
第27期日本文化人類学会会長
松田 素二

 
来年度に弘前大学を会場として開催が予定されている第52回研究大会は、従来の大会と異なる運営方法で実施します。この点については、今年度の神戸大会における会員総会のときにも述べましたが、改めて第一回サーキュラーのまえに説明させていただきます。
 
実施体制の変更(開催校の準備委員会方式から理事会内の実施委員会方式へ)
 従来の大会は、基本的に開催校を中心に組織された準備委員会がすべての準備、運営を行ってきました。これまでこの方式で継続して来れたのは、開催校の会員、院生学生および近隣機関の会員の「尋常ならざる献身」のおかげでした。しかしこの方式は今日大きな曲がり角にたっているようです。大学や研究機関をとりまく状況は、会員に教育上も機関運営上にも大きな負担を強いており、自らの研究時間を工面するのも困難な状況が常態化しつつあります。そのうえ、十名二十名以上の会員がおり、数十名の院生学生を有する大規模校以外では、文化人類学を専門とする会員数が数名あるいは一、二名、大学院生もいないという中規模、小規模校では、本学会のような比較的大規模な学術大会を引き受けたくても、到底引き受けられない状況がつづいています。
 こうしたなかでは「研究大会を引き受けてください」と依頼されて快諾できる会員はほぼいない、という現実が深刻な問題として、私たちにつきつけられているのです。
 そこで開催余力のある一部の大規模校に全面的に依存することなく、大会を実施できる体制を検討することが急務となってきました。そのなかで一つの試行として、今回の弘前大会では、理事会内に会長を委員長とする実施委員会を設置しそのなかに、研究大会運営検討委員会や研究大会査読委員会などを含めています。また実施委員会の実務を担うための事務局を委員長(会長)のもとに設置し、これまで開催校が担当してきた経理、登録、プログラム作成、ホームページ作成などの事務作業を引き受けます。また開催校には弘前事務局を組織して、会場、受付、託児、懇親会などを担当します。実施委員会のもとの二つの事務局が相互に緊密に連携しながら、協働して大会の準備運営にあたることになります。
大会運営への関わり方の変更(お客様型から関与型へ)
 以上述べてきたように、弘前方式は、会員数が少ない大学でも、過重な負担なく研究大会を引き受けられる体制づくりのための実験でもありますが、それと同時に、大会運営に対する参加者の関わり方の変更についての実験でもあります。これまでの大会は、「お客様」である参加会員に対する開催校による手厚いサービスを基本に運営されてきましたが、今回の方式では、大会に関わる会員ひとりひとりの発想の転換をお願いすることになりそうです。神戸大会では60名近い院生学生が各部屋、各フロアに配置され、機器への対応から会場でのサポートを担ってきましたが、弘前大会では、こうした手配は不可能ですし、想定していません。参加会員がその会場のよりよい運営に力を貸してくださるような、いわば会員参加者による会員参加者のための大会運営が実現できるようご理解をお願いします。
 
 法人化した学会が今後も安定して持続可能な形で、毎年、研究大会を開催できるようにするために、新たな体制と発想での準備作業へのご協力を心からお願い申し上げます。