一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

大会長挨拶


 
 第67回学術大会 大会長挨拶
大 澤 功(愛知学院大学)

 


 新型コロナウイルス感染症は,世界を一変させました. 学校現場でも医療機関並みの感染対策が求められるだけでなく,リモート授業やオンライン授業への対応といったように,以前からは想像もできなかった毎日が続いています.
 こういった状況を受けて,一般社団法人日本学校保健学会第67 回学術大会は,開催を1 年延期して,2021年11月5日(金)~ 7日(日)に,愛知学院大学日進キャンパス(愛知県日進市)で開催することになりました.しかしながら,新型コロナウイルス感染症は,発生後1 年以上経過しても収束が見えず,第67回学術大会はWeb主体の開催形式となりました.本来でしたら,皆様を名古屋市に隣接する日進市にお招きし,広大な日進キャンパスで,緑に囲まれながら学校保健を語り合いたかったのですが,それが叶わず大変残念に思います.
 さて,今回のテーマは,「学校保健,その原点に立ち返る」です.我が国の学校保健活動は明治5年の学制発布と同時に始まりました.当時まず問題になったのは伝染病の予防でした.昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大は,改めてこの原点である感染症対策(伝染病対策)の重要性を認識することになりました.そこで,本大会では,特別講演として国立感染症研究所所長の脇田隆字先生に講師をお願いしました.脇田先生は,新型コロナウイルス感染症対策の中心として重責を担っていらっしゃいます.
 また,学校保健活動の中心が養護教諭ということで愛知教育大学前学長の後藤ひとみ先生にも特別講演の講師をお願いしました.さらに,教育講演や市民公開シンポジウム等では,アレルギー,創傷処置,小児期からの生活習慣病対策等,現場の方々に有用な話題を提供できるようにしました.
 一般演題では,やはり新型コロナウイルス感染症関連の発表が多く集まりましたので,従来の演題区分に加えて,「新型コロナウイルス感染症」を設けました.Web開催ということで対面での議論はできませんが,特設サイト上での質疑応答を活発にしていただければと思います.
教育基本法第一条(教育の目的)には,「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」とあります.つまり,教育の目的は心身の健康です.心身の健康があってこそ学ぶことができますし,将来の選択肢も広がってきます.「学校保健,その原点に立ち返る」,もう一度,この意味を参加者といっしょに考えたいと思います.