The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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健康管理,疾病予防2(OP-0306~0310)

大川尚子(京都女子大学)

[OP-0306] 中高生における睡眠習慣と精神病様体験の縦断的関係の検討

周瑞1, 山口智史1, FooJerome2, 西田明日香1, 小川佐代子1, 東郷史治1, 佐々木司1 (1.東京大学 教育学研究科, 2.Department of Genetic Epidemiology in Psychiatry, Medical Faculty Mannheim, University of Heidelberg)

【目的】精神病様体験(PLEs)は,精神病の幻覚や妄想に類似した異常体験である.思春期で頻度が高く,1割近くの人が体験する.精神障害や行動障害などのリスク増加との関連が示唆されている.睡眠の問題はPLEs発症の一つのリスク要因と報告されているが,思春期における睡眠時間とPLEsの関係については,睡眠習慣への介入効果を予測するために重要な縦断研究は殆ど行われていない.そこで本研究では,中高生の睡眠時間とPLEs発症の縦断的関係を検討した.
【方法】都内の中高一貫校で毎年実施されている自記式質問紙調査より得られた,合計1685人の生徒の最大6年間の追跡データを用い,自己回帰交差遅延効果モデルを使って,PLEsと平日及び休日の就床時間(Tib)の縦断的関係を調べた.
【結果】 平日のTibが短いことと翌年の PLEs 発症には統計学的に有意な関連が認められた(OR=0.815 /時間).一方で,休日のTibと翌年のPLEsには有意な関連が認められなかった.
【考察】中高生の平日の睡眠時間が短いことは,翌年のPLEs発症のリスク増大と関連することが示された.また,休日の睡眠時間を長くしても,平日の睡眠不足によるPLEs発症のリスクを減少させることができない可能性がある.以上のことから,平日の十分な睡眠時間を確保することでPLEs発症のリスクを減少させることができるかもしれない.
【倫理的配慮】本研究は東京大学ライフサイエンス委員会倫理審査専門委員会で承認されている(15-128).