The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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保健教育2(OP-0605~0609)

植田誠治(聖心女子大学)

[OP-0606] がん体験者によるillness narrative(病いの語り)が大学生の感情と認識に与える影響

大島寿美子1, 木村恵美子2 (1.北星学園大学 文学部 心理・応用コミュニケーション学科, 2.札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科)

【目的】illness narrative(病いの語り)の教育的意義について検討することを目的として,がん体験者による語りが大学生のがんや体験者に対する感情や認識に与えた影響について明らかにする.【方法】がんに関するオムニバス式の授業でがん体験者の語りを聞いた大学生54名に質問紙調査を実施.「語りを聞いた満足度」「感情への影響」「自己へのあてはめ」「姿勢への感銘」「命を考える機会」「生き方を考える機会」「周囲の人の存在を考える機会」「がんの認識の変化」「がん患者の認識の変化」について5件法で尋ね,「一番印象に残った内容」「学んだこと,感じたこと」について自由記述で回答を求めた.【結果】授業出席者54名中44名が回答した(回答率81.5%).選択式質問9項目の平均値は3.9-4.5(SD=0.66-0.94)でいずれも高かった.満足度以外の8項目について統計的に比較したところ「がんの認識の変化」と,「感情への影響」「姿勢への感銘」「命を考える機会」「周囲の人の存在を考える機会」との間に有意差が認められた.印象に残った内容として複数の回答者があげていたのは「医療者との関わり」「家族や周囲との関わり」「診断と転移」「副作用」「生き方」であった.【考察】大学生はがん体験者の語りに満足し,自己にあてはめ,心を動かしていた.語りを聞くことは,命や生き方,周囲の人の存在について考える機会となるとともに,がん体験者に対する意識の変容をもたらしていた.