The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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保健教育2(OP-0605~0609)

植田誠治(聖心女子大学)

[OP-0607] 小児循環器医と連携した「いのちの授業」 -小児の心臓移植の問題を題材に-

齋藤久美1, 加藤宣行1, 土井庄三郎2, 戸部秀之3 (1.筑波大学 附属小学校, 2.国立病院機構 災害医療センター, 3.埼玉大学 教育学部 学校保健学講座)

【はじめに】いじめや自殺企図など,子供の命に関わる問題が深刻さを増している.そこで,自他の命の大切さを学ばせるため,「日本の小児の心臓移植のドナーは,欧米に比べ少なく,重症児の多くが危険を冒し海外で移植を受けている」という問題を題材として取り上げるパッケージ型の授業を企画し,教育課程への位置づけを検討すると共に実践を行った.【方法】カリキュラム・マネジメントの視点を生かし,8時間(道徳2,学級活動3,総合的な学習の時間3)の総合単元的な道徳学習とし,養護教諭,道徳科教師,小児循環器医が協力して授業を担当することとした.また,医師や日本臓器移植ネットワーク関係者から話を聞き,考えを形成し解決策を考えるなど,主体的・対話的で深い学びの工夫を行った.授業では,児童に臓器提供の意思決定を促すのではなく,問題を自分事と捉え考え続ける態度や,自他の命を尊重し生活する態度を育むことをねらいとした.児童は,医師や患児・ドナーの両親の思いや苦悩を知り,問題を知ることや家族などと話し合うことの大切さ,命の大切さ,思いやりの大切さ,いじめ防止などについて深く考え,発言し,記述していた.【結果と考察】小児循環器医等の医療関係者や複数の教員が連携して教科横断的な学習を行うことは,児童の主体的な授業参加や深い思考,家族との意見交換などにつながり,効果的だった.今後の継続に向け,活動の工夫や指導内容の精選を図ると共に,死生観や脳死の扱い方等について検討を続けたい.