The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題

オンデマンドプログラム » 一般演題

養護教諭,保健室1(OP-0801~0805)

郷木義子(新見公立大学)

[OP-0805] 中堅養護教諭の語りから見た職務上の困難感とその対処

前田美穂1, 大澤功2 (1.東京医療保健大学 和歌山看護学部 看護学科, 2.愛知学院大学 心身科学部)

【背景】中堅養護教諭は校内のミドルリーダーとして対応を迫られることもある.より良い対応を進めるためには,まずは養護教諭が抱えている課題を把握することが必要である.
【目的】中堅養護教諭が抱く職務上の困難感の現状と課題を明らかにすることである.
【方法】首都圏及び関西地方の小学校に勤務する経験年数6年以上の養護教諭2名に倫理的配慮のもと半構造化インタビューを実施した.逐語化されたデータは質的帰納的方法を用いて分析を行った.
【結果】中堅養護教諭が困難感を抱く内容として,以下の7つのカテゴリーが抽出された.:【認識のズレ】,【価値観の違い】,【葛藤】,【保護者とのトラブル】,【満たされない自己充実】,【良好な関係維持】,【見逃し回避】.中堅養護教諭は,周囲との認識のズレや価値観の違い,良好な関係維持から,自身が納得のいく対応ができていないことへの葛藤を感じていた.さらに,保護者とのトラブルや見逃しに対する不安,自己充実への満たされない思いを感じていた.
【結論】中堅養護教諭には,専門性が高まり視野が広まりつつあることで感じる困難さを抱いていることが示唆された.このことから,中堅養護教諭が校内のミドルリーダーとしてより良い対応を進めていくためには,自らの限界を受け入れ,その上で,養護教諭のセルフヘルプ・グループから新たな視点を取得し,日々の取り組みを修正していくことが必要であると思われる.