The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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メンタルヘルス1(OP-1001~1004)

鈴江毅(静岡大学)

[OP-1003] 小学生を対象としたビデオ撮影による保健室来室状況とストレス反応の関連

上田れい子, 五十嵐哲也 (兵庫教育大学 学校教育研究科)

【問題と目的】
日本学校保健会(2008)によると,一日平均保健室利用者数は増加傾向を示し,その背景に精神的課題の存在が示唆されている.しかし,これまでの保健室来室調査は,子どもの自己報告によるものがほとんどであり,保健室来室状況の実態を正確に表していない可能性がある.そこで本研究では,ビデオ撮影による保健室来室状況とストレス反応との関連を検討した.
【方法】
調査対象:小学4~6年生355名
調査内容:(1)保健室来室状況:所属機関の研究倫理審査委員会による承認を得て(2020-31),保健室の出入り口付近が撮影できるようにビデオカメラを設置し,対象児童の一定期間内の来室回数を調査した.
(2)ストレス反応尺度:嶋田・戸ヶ崎・坂野(1994)の4因子について,それぞれ因子負荷量の高い各3項目を抽出し,計12項目で実施した.
【結果と考察】
まず,ビデオ撮影期間内における保健室を訪れた対象児童について,保健室平均来室回数(M=3.79)を基準に高低群分けした.また,保健室を来室しなかった群は来室なし群とした.その上で,ストレス反応について,保健室来室状況を要因とする1要因分散分析を行った.その結果,保健室の来室が多い児童ほど「抑うつ・不安」や「不機嫌・怒り」を感じていることが明らかとなった.しかし,「無気力」に関しては保健室来室状況とは関連が認められなかった.また,「身体的反応」は保健室来室の有無によってのみ違いが認められた.これらは先行研究と異なる知見であり,さらなる検討が必要である.