The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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メンタルヘルス1(OP-1001~1004)

鈴江毅(静岡大学)

[OP-1004] 中高生における相談相手の数と精神的健康との関連:大規模横断調査による検討

プレナリーセッション2

西田明日香1,2, 山口智史1, 東郷史治1, 下寺信次3, 西田淳志4, 岡崎祐士5, 佐々木司1 (1.東京大学 大学院 教育学研究科, 2.日本学術振興会特別研究員(DC), 3.京都大学 医学研究科, 4.東京都医学総合研究所, 5.東京都立松沢病院 精神科)

背景 健全な日常生活を送るうえで対人関係の果たす役割は大きい.特に,相談相手がいない場合,精神不調に陥るリスクが高い.しかし,中高生では相談相手がいないことが精神不調に影響するかは殆ど調査されていない.思春期では対人関係が複雑化するとともに精神不調が急増する.そこで本研究は,相談相手の数と精神的健康の関連を中高生において検討する.
方法 三重・高知県の公立中学校48校と公立高校29校の生徒18,104名の質問紙調査データを用いた.中高・男女で層化した上で,相談相手の数(いない,1人,2人,3人,4人以上)と不安・抑うつ症状(GHQ-12スコア; 0~12点)の横断的関連を混合効果モデルにより検討した. 
結果 女子では,中高どちらにおいても,相談相手が1人またはそれ以上いる生徒は,相談相手がいない生徒に比べ,不安・抑うつ症状が有意に低かった(p>.01).男子においては,中学生では相談相手が2人以上(p>.001),高校生では4人以上いる生徒(p>.001)は,相談相手がいない生徒に比べ,不安・抑うつ症状が有意に低かった.
結論 中高生において相談相手が多いことは,不安・抑うつの低さと関連していた.今後は相談相手の数の精神的健康への影響を縦断的に調査し,相談相手の数を増やす介入が精神的健康を高めるかを検討する.
倫理的配慮 本調査は東京都精神医学総合研究所(20-9),三重大学大学院医学部(603),高知大学医学部(20-57)の研究倫理審査委員会で承認を受けて実施している.