The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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メンタルヘルス2(OP-1005~1008)

外ノ池隆史(愛知学院大学)

[OP-1006] 高校生の援助要請行動:校内支援体制の活用による援助要請行動の変化について

具英姫 (玉川大学 教育学部 教育学科)

援助要請行動は発達に欠かせない社会的スキルの一つである.本研究では,スクールカウンセラー(以下SC)の援助活動から見えてくる高校生の援助要請行動について分析した.また,SCの援助活動において校内支援体制を活用することが高校生の援助要請行動に与える影響について検討した.X年4月から7月までSCとの関わりがあった高校生79名の援助要請行動を分析し,直接的な援助要請型,居場所追求型,援助要請しない型に分けることができた.援助要請行動を分析した79名中60名は援助要請をしなかった.SCの援助を要請したのは5名で,述べ16回SCとの継続面接につながった.14名は校内支援資源の一つである心理学専攻の大学・大学院生(以下メンター)がいる部屋を居場所として求め,延べ128回利用していた.今回の援助要請行動分析ではSCなど専門家の支援を求める高校生の数は限られていた.一方,校内連携を通して校内支援の一環としてメンターとの交流につながった場合,学校内に居場所がある,気軽に相談できる,仲間との交流を深めることができる場所として捉え,援助要請行動が増えることが明らかになった.また,その後SCへの援助要請行動も増えていた.校内の支援体制が機能することが高校生の援助要請行動を促す結果につながると考えられた.今後,被援助経験が少なく援助を求めることができない高校生が援助要請行動を取りやすくなるにはどのような支援体制が有効なのかさらなる検討が必要であると考えられる.