The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題

オンデマンドプログラム » 一般演題

メンタルヘルス3(OP-1009~1013)

佐々木司(東京大学)

[OP-1012] 限局性恐怖尺度(CFM : Circumscribed Fear Measure)日本語版の開発および大学生への試用

岩田昇 (桐生大学 医療保健学部 看護学科)

【目的】限局性恐怖尺度(Circumscribed Fear Measure; McCraw & Valentiner, 2015)の日本語版(CFM-J)を開発し,日本の大学生の恐怖症状を米国の大学生と比較することを目的とした.【恐怖尺度】CFMは特定の対象や状況に対する恐怖症症状を測定する尺度で,恐怖の対象となり得る対象や状況をリストから選ぶよう求め,その対象や状況を想定しながら,その状況下で起こり得る症状に対して評定を求める.症状項目は全25項目で,リスク分析,生理的症状,恐怖/不安,逃避/回避,コントロール不能感の5下位尺度および全体の合計点で評価する.日本語版の開発は原著者の承諾・協力の下で行った.【調査方法】大学生354名を対象に自記式質問紙調査を大学内で実施した.344名(男性163,女性181)より有効回答を得た.基礎統計および心理測定法的特性の検討,公刊されている米国大学生の症状評定・尺度得点との比較を行った.【結果】恐怖対象数は平均2.6で,上位はゴキブリ・ヘビ・暗闇・高所であった.25症状のうち7症状,4下位尺度で性差を認め,いずれも女性が高値を示した.解釈可能性等に基づくと3因子構造が最適解であった.信頼性係数はリスク分析で0.67だが,それ以外は0.80以上の高値であった.日米比較では日本学生は4項目(逃避/回避3,リスク1)が高値で,14項目(特に生理的症状,恐怖/不安,コントロール不能感)で米国学生が高値を示していた.尺度合計でも米国学生の方が高値だった.【結論】CFM-Jは恐怖や不安の測定尺度として一定の有効性を有する.