The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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特別支援教育/インクルーシブ教育(OP-1101~1105)

鎌塚優子(静岡大学)

[OP-1101] 弱視学生が大学生活で直面する困難さに関する質的調査

相羽大輔1,3, 奈良理紗2, 高柳泰世3,4, 坂部司3,4,5 (1.愛知教育大学 特別支援教育講座, 2.長野大学 社会福祉学部, 3.愛知視覚障害者援護促進協議会, 4.本郷眼科, 5.名古屋大学 医学部)

【目的】
 外見では障害が伝わりにくい弱視者の場合は,彼らが直面する困難さや支援ニーズが何かを周知しなければ,合理的配慮が受けにくい.それにも関わらず,例えば,高等教育段階の弱視者は,障害開示や援助要請に躊躇する者も多い(相羽ら, 2013).そのため,弱視児童生徒が高等教育に進むまでに,高等教育で直面する困難さが何かを具体的に示し,それに対応するスキルを身に着けさせる指導が必要であろう.そこで,本研究は,弱視学生に調査を行い,彼らが大学生活で直面する困難さが何かを解明することを目的とする.
【方法】
本研究の参加者は,弱視者40名(男16名・女24名)であり,平均年齢は24.7歳,範囲は19歳~30歳であった.参加者には60分程度の面接調査を1回実施し,読み,書き,移動,その他の枠組みで困難さを聴取し,その内容を類似性に基づき分類・整理し,大・小のカテゴりーを生成した.
【結果と考察】
大カテゴリーには,従前より報告されてきた移動,読み,書きの困難さに加え,理解,作業・活動,コミュニケーションといった困難さが明らかにされた.後者は弱視学生の潜在的な支援ニーズであると推察できた.また回答人数の多い小カテゴリーを選定すると,11種類の困難さが抽出され,このうち,7つは潜在的な困難さであった.潜在的な困難さの中の大半を占める障害理解や周囲とのコミュニケーションが重要度の高いものと推察できるため,これらに対する支援の在り方を探ることが必要と示唆された.