The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題

オンデマンドプログラム » 一般演題

ヘルスプロモーション2(OP-1305~1308)

三好美浩(岐阜大学)

[OP-1306] 学校環境保健:子どもの健康と環境

プレナリーセッション1

中山祥嗣, 西浜柚季子 (国立環境研究所環境リスク・健康領域)

子どもが健康に発達するためには,適切な環境が必要である.ここの環境とは,家族やコミュニティ,友だちなどに加えて,自然環境や衛生環境,家庭の経済的状況や,大気汚染,同居者の喫煙状況,食事や水,それらに含まれる汚染物質など,子どもをとりまくすべてのものをいう.環境が子どもの健康と発達に影響することは,疫学研究で明らかになっている.特に,空気や水,食事中の汚染物質等による影響は,過去の研究や進行中の研究で明らかになりつつある.子どもは,幼少期はほとんどの時間を家庭で過ごすが,成長が進むと学校で過ごす時間が増える.たとえば,鉛は学習障害の原因となり,かつその影響は可逆的であることが知られている.また,家具などの延焼を防ぐために使用される難燃剤は,ADHDなどの発達障がいと関連することが知られている.プラスチックの原料であるフタル酸エステル類も,脂質代謝等に関連することが報告されている.近年学校でも使用される人工芝には,重金属を始め,プラスチック製剤なども含まれている.これらは,家庭内で曝露する(さらされる)ことが多いが,学校でも難燃剤を含む製品は多く使用されている.実際に,東日本大震災時に避難所として利用された体育館は,鉛濃度が極度に高かった.このように,子どもたちは学校内でも有害な環境に曝露している可能性があるが,その実態はほとんどわかっていない.本発表では,環境省事業であるエコチル調査の事例等を紹介しながら,学校環境保健の重要性について解説する.