The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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安全,危機管理1(OP-1401~1405)

渡邉正樹(東京学芸大学)

[OP-1405] 運動部活動の顧問・指導者を対象とした体罰関連要因尺度の開発に関する研究:因子構造の検討に焦点を当てて

霜触智紀1, 笠巻純一2 (1.新潟大学大学院 現代社会文化研究科, 2.新潟大学 人文社会科学系)

【目的】本研究は,運動部活動における体罰問題に着目し,顧問・指導者の体罰に関連する要因を測定する尺度(以下,体罰関連要因尺度)を開発することを目的とした.【方法】系統抽出法を用いて選定した日本全国の中学校,高等学校(517校)に勤務する運動部活動の主顧問教員を対象にアンケート調査を実施し,39都道府県から337票の有効回答(中学校130名,高等学校207名)を得た.調査期間は,2021年2月17日~3月19日とした.解析には,項目分析(天井効果及び床効果の確認,G-P分析,I-T相関等),探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転),信頼性分析を用いた.【結果】因子分析の結果,5因子26項目が抽出された.第1因子は「顧問・指導者の指導方針・信念」(9項目),第2因子は「生徒・チームの目標未達成」(5項目),第3因子は「顧問・指導者の勝利至上主義的指導観」(5項目),第4因子は「外圧的指導環境」(4項目),第5因子は「生徒のネガティブな態度」(3項目)と命名した.Cronbachのα係数は0.74~0.86を示し,内的整合性が確認された.各下位尺度を構成する項目は,1因子のみに比較的高い因子負荷量を示し,単純構造が確認された.5つの因子は質的アプローチに基づく先行研究において運動部活動の顧問・指導者による体罰との関連が指摘されている要因であり,尺度の内容的妥当性が支持された.【結論】中学校,高等学校の運動部活動における体罰関連要因尺度の内容的妥当性を確認するとともに,構成概念妥当性が部分的に支持された.