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[JCAA-4] ホスホジエステラーゼIII阻害薬はcAMP-PKA経路を介した抗炎症作用によりアンジオテンシンIIによる腹部大動脈瘤形成を抑制する
Keywords:Phosphodiesterase, Abdominal aortic anuerysms
【背景】アンジオテンシンII(AngII)の持続投与よる腹部大動脈瘤(AAA)形成の過程には,大動脈壁の炎症が重要であることが報告されている。今回我々は,ホスホジエステラーゼIII阻害薬(PDEI)であるシロスタゾールがAngIIによるAAA形成に及ぼす影響を検討した。【方法と結果】8-12週齢のオスのapoE欠損マウスに普通餌または0.1%PDEI混餌を与え,AngII(1000 ng/kg/min)を4週間持続投与しAAAの評価を行った。PDEIによって体重,血圧,脈拍,脂質への影響は認めなかったが,大動脈径の拡大(1.94 ± 0.16 mm vs 1.53 ± 0.17 mm),AAAの発生率(79 % vs 43 %)は有意に抑制された。組織においてはAngIIによる血管壁へのマクロファージの浸潤はPDEI投与群で抑制され,また大動脈のMMPの活性化も同様にPDEI投与群で抑制された。さらに,AngIIによる大動脈でのCcl2,IL-1b,Cox2,Spp1の遺伝子発現の上昇もPDEI投与により抑制された。次に,免疫組織学的検討により,ホスホジエステラーゼIIIは主に血管内膜に発現していることが確認された。そこで,血管内皮細胞におけるPDEIの作用機序の検討のためにapoE欠損マウスから血管内皮細胞を単離培養した。この培養血管内皮細胞においてPDEIは,TNF-α刺激によるCcl2,Icam-1の発現増加を濃度依存性に抑制し,Forskolinでも同様にこれらの遺伝子発現量の増加が抑制された。一方でこのPDEIによるCcl2,Icam-1の発現増加の抑制効果はPKA阻害薬H-89の共添加により無効化された。【結論】以上より,ホスホジエステラーゼIII阻害薬はcAMP-PKAを介した抗炎症作用により,腹部大動脈瘤形成を抑制することが示唆された。