3:24 PM - 4:07 PM
[JCSY-2-2] 抗血小板薬Update
血小板は、動脈のような速い流速のなかでも内皮傷害部位に粘着し、凝集を来す。活性化される。そして、トロンボキサンA2が産生され、ADPやセロトニン等を高濃度に含む顆粒が放出されるが、トロンボキサンA2やADPの受容体が血小板細胞膜上にあり、それらはセルフアゴニストとして血小板活性化の増幅に寄与する。アスピリンは不可逆的COX-1阻害薬であり、クロピドグレル等チエノピリジン誘導体は不可逆的ADP受容体P2Y12阻害薬である。抗血小板薬は、虚血性イベント抑制効果と引き換えに出血性合併症の増加はさけられない。二次予防とステント血栓症の予防が主な適応である。一次予防に用いる場合には、相当なハイリスク症例に限るべきであろう。本講演では、アスピリンとADP受容体阻害薬について以下の3点について考察する。
(1) アスピリンかADP受容体拮抗薬か:脳梗塞再発予防でチクロピジンがアスピリンより有効であった(TASS試験)こと等によって、従来より脳梗塞領域ではADP受容体拮抗薬が頻用されていたが、循環器領域ではアスピリン単独が主流であった。クロピドグレルがアスピリンより有効性を発揮し(CAPRIE試験)、出血性合併症も少ないようである。そのため、循環器領域でもADP受容体拮抗薬の単独投与が増えつつある。
(2) 抗血小板療法の反応多様性について:アスピリンの抗血小板効果が弱い患者ではリスクが上昇するとして、アスピリン抵抗性が一時期大きな話題となり、多くの研究が行われ、否定的となった。クロピドグレルは、プロドラッグで肝臓での代謝を受けて活性型となる。最も大きな影響があるのがCYP2C19であるが、機能欠損型変異が多く、そのような症例ではクロピドグレルの効果が減弱し、また、ステント血栓症等のリスクが増大しているといういくつかの報告がある。日本人では約60%が何らかの変異を有している。近年開発された第3世代ADP受容体拮抗薬であるプラスグレルは、我が国での用量は欧米での約1/3に設定され、日本人を対象としてクロピドグレルと比べて出血を増加させずに、イベント発生を減少させている傾向が示されており、期待したい。
(3) 抗血小板薬の効果モニタリングについて:近年、全血を用いて簡便に抗血小板薬の効果モニターができる装置の開発が相次いでいる。診療現場で用いられるまでにはいくつかのステップがあるが、現況では、効果の評価は可能で有り、イベントリスク・出血リスクの予知因子としての可能性は示されているが、その指標をもとに治療介入を行った研究で、予後改善に繋がったという研究成果はない。また、新薬の開発や新薬の抗血小板効果の強度を理解する上で、抗血小板薬の効果モニタリングは有用である。
(1) アスピリンかADP受容体拮抗薬か:脳梗塞再発予防でチクロピジンがアスピリンより有効であった(TASS試験)こと等によって、従来より脳梗塞領域ではADP受容体拮抗薬が頻用されていたが、循環器領域ではアスピリン単独が主流であった。クロピドグレルがアスピリンより有効性を発揮し(CAPRIE試験)、出血性合併症も少ないようである。そのため、循環器領域でもADP受容体拮抗薬の単独投与が増えつつある。
(2) 抗血小板療法の反応多様性について:アスピリンの抗血小板効果が弱い患者ではリスクが上昇するとして、アスピリン抵抗性が一時期大きな話題となり、多くの研究が行われ、否定的となった。クロピドグレルは、プロドラッグで肝臓での代謝を受けて活性型となる。最も大きな影響があるのがCYP2C19であるが、機能欠損型変異が多く、そのような症例ではクロピドグレルの効果が減弱し、また、ステント血栓症等のリスクが増大しているといういくつかの報告がある。日本人では約60%が何らかの変異を有している。近年開発された第3世代ADP受容体拮抗薬であるプラスグレルは、我が国での用量は欧米での約1/3に設定され、日本人を対象としてクロピドグレルと比べて出血を増加させずに、イベント発生を減少させている傾向が示されており、期待したい。
(3) 抗血小板薬の効果モニタリングについて:近年、全血を用いて簡便に抗血小板薬の効果モニターができる装置の開発が相次いでいる。診療現場で用いられるまでにはいくつかのステップがあるが、現況では、効果の評価は可能で有り、イベントリスク・出血リスクの予知因子としての可能性は示されているが、その指標をもとに治療介入を行った研究で、予後改善に繋がったという研究成果はない。また、新薬の開発や新薬の抗血小板効果の強度を理解する上で、抗血小板薬の効果モニタリングは有用である。