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[JCSY-3-2] 心房細動治療(薬物)ガイドライン概要
循環器学会の心房細動治療(薬物)ガイドラインは2008年に改訂され、新規経口凝固薬(NOAC)の導入に伴い2011年に緊急ステートメントが公表された。その後の進歩を取り入れ、2013年改訂版が公表された。心原性塞栓症に関する2013年改訂版の特徴は以下のとおりである。①弁膜症性心房細動の定義:人工弁(機械弁、生体弁とも)およびリウマチ性僧帽弁膜症(おもに狭窄症)に伴うものを弁膜症性とした。リウマチ性弁膜症以外のものや僧帽弁形成術は弁膜症性には含めない。②塞栓症リスクの層別化法:CHADS2スコアを基本とした。これは、簡便なこのスコアですら実地臨床の現場に十分浸透していないこと、より煩雑なCHADS-VAScでは使用が敬遠される恐れがあること、NOACの開発試験が基本的にはこのスコアを使用していることによった。CHADS2スコアが0点の場合には、V(血管疾患、すなわち陳旧性心筋梗塞、末梢動脈疾患、大動脈プラーク)とA(65~74歳)を考慮する。女性は危険因子としては扱わない。③出血リスクの層別化法:HAS-BLEDスコアを採用した。前向き観察研究であるJ-RHYTHM Registry はHAS-BLEDスコアがワルファリン投与例ばかりでなく非投与例でも出血イベントのリスク層別に有用であることを示している。⑤ワルファリン治療の目標PT-INRレベル:2008年改訂版と同じレベルを推奨した。⑥NOACの追加:同程度の推奨レベルの場合にはワルファリンよりはNOACを優先する。原則としてNOAC間に推奨度合いの差をつけなかったが、CHADS2スコアが1点の場合のみ推奨度合いに差を設けた。