第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

基礎研究

2014年10月30日(木) 10:40 〜 11:20 第4会場 (203会議室)

座長: 森下竜一(大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学)

10:40 〜 11:20

[O-1-1] 低出力体外衝撃波治療:心血管疾患に対する新しい非侵襲性血管新生療法

伊藤健太1,2, 高橋潤1, 松本泰治1, 圓谷隆治1, 羽尾清貴1, 西宮健介1, 二瓶太郎1, 下川宏明1,2 (1.東北大学 循環器内科学, 2.東北大学 循環器先端医療開発学)

キーワード:angiogenesis, myocardial ischemia

急性期治療の進歩に伴い虚血性心疾患の予後は改善してきているが,その一方で高齢患者・重症例が増加してきている。我々は,基礎研究の成果をもとに,重症狭心症患者を対象に低出力体外衝撃波治療の臨床試験を行ってきた。低出力衝撃波(結石破砕治療に用いる出力の約10分の1)を体外から虚血心筋に照射することにより,第1次臨床試験では,治療後には全例で狭心症症状が軽減し,その効果は1年以上持続した。また,負荷心筋シンチで評価した心筋血流は衝撃波照射部位でのみ改善を認めた。第2次臨床試験では,衝撃波治療により狭心症症状・運動耐用能・心機能の改善を認めたが,プラセボ治療後には改善を認めなかった。以上から,低出力体外衝撃波治療により血管新生が促されて心筋血流が改善したと考えられた。治療に伴う合併症は認めなかった。狭心症に対する低出力体外衝撃波治療は先進医療に承認されており,さらに,間歇性跛行を伴う末梢動脈疾患患者に対しても,有効性を確認している。我々が開発してきた低出力体外衝撃波治療は,麻酔や侵襲的処置なしに体外から行える非侵襲的な治療法であることから,高齢者や合併症を持つ重症例においても肉体的負担が少ない治療法であり,今後の発展が期待される。