第55回日本脈管学会総会

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一般演題(口述)

基礎研究

Thu. Oct 30, 2014 10:40 AM - 11:20 AM 第4会場 (203会議室)

座長: 森下竜一(大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学)

10:40 AM - 11:20 AM

[O-1-3] 閉塞性動脈硬化症のゲノムワイド関連解析

松倉満1, 木村賢1, 牧野能久1, 須原正光1, 根元洋光1, 白須拓郎1, 芳賀真1, 望月康晃1, 赤井隆文1, 谷口良輔1, 西山綾子1, 橋本拓弥1, 宮原拓也1, 保科克行1, 重松邦広1, 渡邉聡明2, 尾崎浩一3, 田中敏博3 (1.東京大学 血管外科, 2.東京大学 腫瘍外科, 3.理化学研究所 ゲノム医科学研究センター 循環器疾患研究チーム)

Keywords:ASO PAD, GWAS

閉塞性動脈硬化症(ASO)は下肢を中心とした動脈硬化症による慢性動脈閉塞が本態であり,重症化すると歩行障害から下肢の安静時痛,潰瘍形成を来し最重症例では下肢切断に至る。本邦でも食生活の欧米化や高齢化社会に伴いASO罹患患者は急激に増加傾向にある。ASOのリスクファクターとしては他の動脈硬化性疾患と同様に高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙などが挙げられるが,遺伝的要因が独立に関係することも疫学的に証明されている。しかしながら,これまでにASOの遺伝的要因の同定について大規模に検索された例はなく,病態進展のメカニズムに関する知見は不足している。本研究ではASOの遺伝的要因の同定からエビデンスに基づく疾患の予防,予知を目的として,一塩基多型(single nucleotide polymorphism; SNP)を用いた全ゲノム関連解析(genome wide association study; GWAS)を施行した。バイオバンクジャパンに登録済のASO患者症例とコントロール症例を対象に,イルミナ社ビーズチップを用いて全ゲノムタイピングを施行し,クオリティーフィルターをパスしたSNPについてGWASおよびそのフォローアップ解析からゲノムワイド有意性(P <10-7,ASO患者~2600症例,コントロール~22000症例)を示すSNPを同定した。さらに東京大学,東京医科大学で新規にリクルートしたASO患者450症例をタイピングし,関連の再検証を行った。最も関連の強かった染色体座位については詳細なSNP地図を作成し,連鎖不平衡解析および機能解析により疾患感受性遺伝子の同定,解析を進めている。