10:52 AM - 11:24 AM
[O-10-2] 当院における腹部大動脈瘤破裂例のCT所見の検討
Keywords:AAA, rupture
【目的】ステントグラフト内挿術の普及により,未破裂腹部大動脈瘤に対する治療適応が,瘤径50mm未満のものに対しても拡大しつつある。そこで今回は,当院における腹部大動脈瘤破裂例のCT所見を検討し,上記適応拡大を妥当化しうる新たな大動脈瘤破裂の危険因子を探った。【対象/方法】2010年10月以降,当院で経験した腹部大動脈瘤破裂例(全27例)のうち,破裂時に当院でCTを撮像された13例(男性11例,女性2例,平均年齢72歳)を対象とし,破裂時のCTにおいて大動脈瘤の瘤径や形状,瘤壁の石灰化,中枢側正常血管と大動脈瘤長軸とのangle,破裂部位等を確認のうえ評価した。【成績】破裂時の瘤径は中央値66.0(42.2~87.5)mmであり,50mm未満の症例は2例(15%)であった。1例のみ嚢状瘤で,他は紡錘状瘤であった。瘤壁に高度~中等度の石灰化を有する4例での瘤径(中央値79.0(59.5~87.5)mm)は,石灰化が軽度である症例の瘤径(中央値60.3(42.2~83.7))に比して大きい傾向にあった。中枢側正常血管と大動脈瘤長軸とのangleは,中央値68.9(38.7~89.1)度であり,瘤径が小さな症例では屈曲が強い傾向にあった。また破裂部位は石灰化がなく,屈曲が強い症例では血行力学的に血流が瘤壁に衝突するangleの大弯側に多かった。【結論】当院での腹部大動脈瘤破裂例には,瘤径が50mm未満のものも含まれていた。いずれも瘤壁の石灰化は軽微で,中枢側正常血管と大動脈瘤長軸とのangleは急峻であった。症例の蓄積が必要だが,瘤径が小さい場合でも,瘤壁の性状や血行力学的な要因が大動脈瘤破裂の危険因子となる可能性が示唆された。