11:24 AM - 11:56 AM
[O-11-1] MR lymphography,SPECT/CTリンパシンチグラフィ,造影超音波検査による下肢リンパ管描出の試み
Keywords:lymphatic vessel, enhanced USG
慢性下肢リンパ浮腫の検査はリンパシンチグラフィが世界標準である。しかし,下肢全体のリンパ機能は評価できてもリンパ管を1本ずつ分離同定する解像度はない。加えて,検査時の被曝や設備の遮蔽の問題があり普及していない。一般に広く用いられるMRIや超音波検査,SPECT/CTにより,下肢リンパ管の描出やリンパ浮腫の重症度評価を試みた。【方法】MR lymphography(MRL)は6例に施行した。両側足趾間に局麻後,Gd-DTPAを皮下注射した。注入後は2-3分ほどマッサージを行い,30分後と60分後に撮影。SPECT/CTリンパシンチグラフィ(SPECT)は2013年1年間で117例に施行。99mTCを両足各2ヶ所に皮下注射し,約2時間後に撮影。超音波検査は10例で施行した。超音波造影剤(Sonazoid)を足背に皮下注射し,10Mhzのプローブを用いてリンパ流を観察した。【結果】MRLでは比較的深部で数珠状に拡張,蛇行したリンパ管を索条物として確認できた。dermal back flowも描出されたが,40年以上に渡り蜂窩織炎を繰り返していた1肢のリンパ管を判別することは不可能だった。SPECTでは集積の強弱から機能的なリンパ管の経路を判別することが可能で有り,重症度評価に有用だった。しかし,CT画像からリンパ管自体を同定することは困難だった。造影超音波検査ではリンパ管内を移動する造影剤を描出しえた。複数のリンパ管の位置関係やリンパ節へ流入するリンパ管の様子も確認可能だった。【まとめ】MRL,SPECT,造影超音波検査を組み合わせることにより,下肢リンパ管を解剖学的および機能的に評価し,リンパ浮腫症例の重症度評価や複合的理学療法,手術治療に有効な情報を得ることが可能だった。