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[O-13-2] 下肢虚血評価における皮膚灌流圧と経皮酸素分圧の有用性について
Keywords:SPP, tcPO2
【背景】皮膚灌流圧(SPP)および経皮酸素分圧(tcPO2)は虚血肢における皮膚微小循環の評価に汎用されており,また創傷治癒予測の有用な指標(両検査法とも30 mmHg以下では治癒が困難)とされている。【目的】SPPおよびtcPO2の下肢血流評価,創傷治癒予測における有用性を検討する。【対象】下肢虚血が疑われた患者のうち,SPPとtcPO2の同日測定を試みた320例620肢(男性208例,女性112例,年齢67.5±12.3歳)。症例の内訳は下肢虚血が否定された44例,閉塞性動脈硬化症216例,バージャー病50例,コレステロール塞栓症10例であった。また被検肢のFontaine分類は,IおよびII度426肢,IIIおよびIV度127肢であった。【方法】安静仰臥位30分後に足背部で両検査の測定を開始した。SPP値とtcPO2値の相関を検討し,さらにFontaine分類IIIおよびIV度のSPP値とtcPO2値を30 mmHg以下か否かの2群に分類し,分類結果の一致率を算出した。【結果】SPPは体動,駆血時の疼痛のため67肢で測定不能であったが,tcPO2は全肢で測定可能であった。両検査の測定が可能な553肢において,SPP値とtcPO2値は有意に相関(r=0.53,p<0.001)した。両検査値は,Fontaine分類IおよびII度では弱い相関(r=0.37,p<0.001),III度およびIV度では強い相関(r=0.66,p<0.001)を示した。またIII度およびIV度においてSPP<30 mmHg,tcPO2<30 mmHgを示したのは,それぞれ49,53肢であり,各検査による創傷治癒予測の一致率は73%であった。【結論】tcPO2は測定不能例が少ない点においてSPPより優れていると考えられる。重症虚血肢において両検査値は強く相関し,かつ創傷治癒予測も高率に一致することが示唆される。